滋賀県で集団食中毒が発生しました。原因は弁当に供されたカレー。保健所によればその中から、ウェルシュ菌が検出されたと言います。
ウェルシュ菌? 知ってました?
私が知らなかっただけでしょうか?
日々これ query(質問・疑問)、気になったので調べてみました。
カレー由来のウェルシュ菌で集団食中毒
食中毒に関しては、次のように報じられています。
滋賀県は21日、守山市千代町の「総合給食センター 一番」が提供した弁当のカレーを食べた工場など4事業所の従業員77人が、下痢や嘔吐など食中毒症状を発症したと発表した。
うち12人からウェルシュ菌を検出したため、草津保健所は食中毒と断定。22日から4日間の営業停止処分とした。全員が快方に向かっているという。 県によると、原因とみられるカレーは3月15日に提供された。ウェルシュ菌による食中毒は、加熱調理後に放置されたシチューなどの食品でよく起こるという。
出典:カレー弁当で77人食中毒 滋賀・守山、ウェルシュ菌検出 (京都新聞) – Yahoo!ニュース
77人とは大ごとです。
先日は海苔が原因で食中毒が起きました。
食中毒と言えばむし暑い季節が定番と思っていましたが、最近はノロもあるし、夏以外でも油断できないです。
ウェルシュ菌は別名「給食金」
今回の原因はウェルシュ菌。
いったいどんなものなんでしょう?
wikipediaで見ると、河川、下水、海、土壌中など自然界に広く分布していて、腸内細菌としても知られているようです。
腸内細菌と言えば、すぐにビフィズス菌が思い浮かびます。整腸作用があるので善玉菌などとも言われますよね。しかしこのウェルシュ菌は、悪玉菌の代表格。ビフィズス菌とよく対比されるそうです。少なくとも12種類の毒素を作り、臭いおならの原因にもなるのだとか。
ウエルス菌にも型があり、それぞれ出す毒素が違っています。
その中には生物兵器同様にテロに利用される可能性が懸念されているものや、神経毒性が見つかっているものもある。こうなると呑気に悪玉とか言っているレベルじゃないですね。
増殖に適した温度はは43-47℃。45℃では、約10分間で増殖するそうです。
また、最も多くの毒素を出すのは、増殖と違って37℃なんだとか。ヒトの体温くらいですね・・・。
通称では「給食菌」、「カフェテリア菌」とも呼ばれる。
熱に強く、高温処理でも生き残る。高音では他の菌が死ぬため、ウェルシュ菌の天下になる。さらに加熱によって食品から酸素が失われた状態になると、これはウェルシュ菌の大好物の環境。温度が次第に下がりだすと、活発に増殖を始めます。
・・・なるほど、カレーやシチューなどを大量に作ると増殖しやすそうですね。
肉類、魚介類、野菜を使用した煮込み料理が多い。
発生原因施設は、他の食中毒と同様に飲食店、仕出し屋、旅館、学校などの集団給食施設による事例が多く、カレー、シチュー、スープ、麺つゆなどのように、食べる日の前日に大量に加熱調理され、大きな器のまま室温で放冷されていた事例が多く見られます。
『加熱済食品は安心』という考えがウェルシュ菌による食中毒の発生原因となっています。逆に、家庭での発生は他に比べて少ないことが特徴的です。
出典:食中毒を起こす微生物 ウェルシュ菌|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
二日目のカレーが大好物なのは、人間だけじゃなかったようです。
加熱殺菌が効かないウェルシュ菌の対策と予防法
とはいえ、重篤な症状になることは多くはないようです。下腹部がはるくらいで済むこともある。
ただしお年寄りや小さなお子さんなど、免疫力が弱っている場合はこの限りではありません。いずれにしても用心することにこしたことはないでしょう。
ウェルシュ菌のやっかいなところは、私たちが信じきっている加熱殺菌が効かないこと。
アルコール消毒も効かないそうです。
カレーなどはぐつぐつ長く煮込むほど美味しくなるような気がしますが、10分で倍増するウェルシュ菌は20分で4倍、30分で8倍という具合に、倍々で増えてしまいます。
出来上がった給食のカレーの大鍋の中にどのくらいいるのか、考えたくないですね(苦笑)。
予防のポイントとしては三点
・加熱調理したものは早めに食べる
・増殖しやすい温度を長く保たないようにする
・保管する際は、小分け&急速冷凍が基本。
参考:食中毒を起こす微生物 ウェルシュ菌|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
増殖しやすい温度で保つ時間を減らす工夫が必要なんですね。
それとウェルシュ菌そのものは加熱に強いのですが、ウェルシュ菌が作り出す毒素そのものは加熱で無害化されるそうです。
ウェルシュ菌で食中毒が起きる場合、摂取した菌が体内で毒素を出すことで起きるパターンが多いため効果は限られるものの、保存したカレーを食べる前に加熱するのは無意味ではないと言えそうです。
おわりに〜加熱への過信は禁物
大鍋のカレーが大好きなウェルシュ菌。そんなヤツがいるとは知りませんでしたが、大量に食品を作る人々にとってはおそらく、よく知られている菌なのでしょうね。
2016年には名古屋で、仕出し弁当の煮込みハンバーグが原因で食中毒が起きています。
岡崎市によると、夕食用の弁当で煮込みハンバーグなどが入っていた。約670人が食べ、36人から食中毒の原因となるウェルシュ菌が検出された。
出典:仕出し弁当で70人食中毒 ウェルシュ菌を検出、名古屋 : 京都新聞
症状が重くなることは少なく、今回の滋賀県の食中毒でも、患者さんはみんな快方に向かっているそうですが、やはり注意していただきたいですね。
加熱した食品は安全という思い込みがありましたが、我が家でも気をつけなくちゃ・・・
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