このところNHKの朝ドラ『ひよっこ』に早くもハマっています。
今日ツボったのは、赤坂の洋食店「すずふり亭」・・・の “マッチ” です。
みなさんお気づきになりましたか?
若い人にはあまりなじみがないかも知れません。昔は飲食店や喫茶店などでごく一般的に行われていたマッチの配布。今ではほとんど見かけなくなってしまいました。
懐かしさもさることながらそのすずふり亭のマッチ、またデザインが秀逸。
ということで、そのマッチについて書いてみることにしました。
『ひよっこ』に出てくる洋食店・すずふり亭が配っているマッチが絶妙
百聞は一見に如かず、私がツボったマッチがこちら↓
時代は昭和39年、舞台は東京赤坂。
当時の雰囲気がよく表れています・・・って、私もほんとうのところは知りませんが、それっぽい気にさせてくれます。
デザインは凝りすぎず、洋食店であることを直裁に表すコックさんがメイン。その背景に、店の名前を表す鈴を大きく配置している。
実にシンプルです。
今と違って印刷費用も高価でしたから、色数は抑えめ。白地に赤と黄色、それとラインに使われているのは濃い茶色でしょうか? インクは三種類のみと思われます。もちろんグラデーションは使わないフラットデザインです。
きわめつけは赤字を白抜きした「すずふり亭」のロゴ。
このロゴは店の看板にも使われていますが、すずふり、という爽やかな音の響きが、若干の角度をつけた書体に表れています。
「す」と「ず」の二つの文字のダブルで続く下のはらいの繰り返しは、一泊おいて後に続く「り」の字とも呼応している。
う〜ん、この美術さん、できる!
とまぁ、いち視聴者が何言ってんだ、って感じですが(笑)、ともかく素敵なマッチです。
コレクターならぜひ欲しくなるレベルではないでしょうか?
営業ツールとしてのマッチ
当時の飲食店にとって、こういうマッチは重要な営業ツールだったはずです。
世の中が今ほど喫煙に厳しくなかった時代、多くの人が煙草をすっていました。
100円ライターなんてものもこの時代はまだ普及していませんでしたから、煙草に火をつけるときにはマッチが日常的に使われていた。マッチを使うときには箱を見ますから、そこに店の名前が入っていればその店を思い出す、という流れで、確実な広告効果があったことでしょう。
また、思い出すことを何度か繰り返すと記憶として定着されますから、マッチはかなり強力なツールだったのではないかと思います。
タバコをすう人だけではなく、マッチは家庭の中でも日常的に使われていました。
ガスでもストーブでも、何かにつけマッチのお世話になったものです。
ところが喫煙者が減り、自動点火のガス台や暖房の電気ヒーター化、オール電化などもろもろあって、私たちの暮らしから火が消えて行きます。前段には使い捨てライターの影響もあったでしょう。
今では配布用のマッチはほとんど見なくなってしまいました。
多種多様な表現の世界でもあったものが消えてしまったのは、寂しいですね。
つながるマッチの世界
当然、根強いファンはいらっしゃるようです。
こんなサイトさんを見つけました。
それと、マッチ箱の意匠を生かした付箋などの小物も販売されているようです。
マッチが完全に趣味の世界になってしまったのかというとそうでもなく、防災の観点から見直す動きもあり、災害時保存用の缶詰マッチなるものが作られているようです。
確かに、震災で生活インフラが失われてしまうような局面では、たよりにできそうですね。
『ひよっこ』の美術さんは『あまちゃん』の美術さん?
話を『ひよっこ』に戻します。
こちらの素敵なマッチを手がけたのはどなたなんでしょう?
『ひよっこ』のサイトを見ると美術を統括しているのは丸山純也さんという方のようです。
ほかに美術スタッフさんとして
・犬飼伸治
・荒井聖子
・杦本利奈
・枝茂川泰生
・生永麻衣
・佃 尚能
・橋立幸絵
さんたちのお名前が挙っています。
このマッチをデザインしたのがどなたなのかはわかりません。
ただ統括の丸山氏はあの『あまちゃん』でも活躍していた美術さんのようです。
そういえば『あまちゃん』の小道具も昭和感がありましたね。
回想シーンも多かったし、北三陸のほうはまさに昭和感が満載でした。
『あまちゃん』と言えば今回の『ひよっこ』の主演・有村架純さんや、すすふり亭の店主を演じる宮本信子さんも出演していましたね。宮本さんなどは、今も“なつばっぱ”と、朝ドラ受けでは呼ばれ続けています。
『あまちゃん』大好きだった私としては、スタッフさんにも『あまちゃん』歴がある人を発見できたのは嬉しい驚きで、『ひよっこ』がますます楽しみになりそうです。



1964年の東京と農業をテーマに有村架純を撮り下ろし。劇中写真、オフショット+宮本信子さん、佐久間由衣さんとの対談など、って、かなり見たいですね。


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