極地巨大化現象の理由・原因:南極の深海が生物にかける魔法( NHKスペシャル・ディープオーシャン)

南極の深海で、ケタ違いの巨大生物が次々と発見されました。
10mクラスの巨大クラゲ、1mを超すスーパーカイメン、そして巨大イカ。いずれも私たちの常識を超えるビッグサイズ。

発見したのはあの“ダイオウイカ”の撮影に成功したNHK取材班
素晴らしいです! 拍手と感謝を贈りたい。

それにしてもなぜ南極の、それも深海でこのような生物の巨大化が起きるのか
不思議ですよね。

この「極地巨大化現象」と呼ばれる神秘の魔法がなぜ起きるのか、今回はその理由・原因について調べてみました。

南極深海の巨大生物の映像や、極地巨大化現象の謎に迫るNHKスペシャル放送日時も最後に添えています。

 

南極の深海でケタ違いの巨大生物〜極地巨大化現象(ポーラー・ジャイガンティズム)

NHK取材班が南極の深海で撮影に成功したのは、冒頭に書いた10メートル級のクラゲや1メートル超のカイメン、巨大イカなど。
その大きさには驚きを禁じ得ませんが、資料と思われる画像では、巨大なヒトデも映っています。
調べてみると南極の海では25cmに達するウミグモもいるそうで、これは通常の25倍の大きさだそう。

南極の海では生物が巨大化する現象が、しばしば確認されており、

  • 極地巨大化現象
  • 南極巨大化現象
  • ポーラー・ジャイガンティズム

などと呼ばれています。

最後のポーラー・ジャイガンティズム、どこか少年心をくすぐる響きですね。

極地巨大化現象の不思議

それにしても、なぜ南極でこのような極地巨大化現象が起きるのか、たいへん不思議です。

そもそもが極地ですから気温は低い。
さらに深海という、光も届かない過酷な環境。
このような、生きるのに有利とは思えない環境で生物が巨大化するのは解せません。

南米の昆虫などを思い浮かべると、暑いところ・気温の高い地域にこそ、大きな生き物がいそうな気がしませんか?

寒いところほど生き物が巨大化するという説

ところが、寒い地域ほど生き物は大きくなる、という説は昔からあるそうです。

ベルクマンの法則

1847年、ドイツの生物学者であるクリスティアン・ベルクマン(Christian Bergmann)が発表した説がそのひとつ。

体温を維持するためには、大きくなったほうが都合がいい。なぜなら、熱を放出する体表の面積が小さくて済むから、というわけです。
ちょっとわかりにくいかも知れませんが、球体でも大きさが大きいほど、重さに対する表面積は小さくなります。体温が逃げるのは体表からなので、大きくなったほうが温度を維持しやすい、ということでしょう。

温暖な地域では体温を維持するためには放熱を十分に行う必要があるから体重当たりの体表面積は大きくなければならず、小型であるほうがよい。逆に寒冷な地域では放熱は簡単であり、むしろ体温を維持するためにはそれを抑える必要があり、そのためには大型であることが有利となる。
出典:ベルクマンの法則 – Wikipedia

ただしこのベルクマンの法則は、恒温動物についての話。
今回の、南極の深海生物の巨大化を説明するのは無理そう。

そもそも10メートルのクラゲは超長い!まるっとしているならまだしも、表面積が無駄に大き過ぎるんです(笑)。

南極の海に魔法の秘密が?

調べてみると、巨大化の理由は南極の海そのものにある、という説がありました。

鍵は酸素濃度か?

アメリカ国立科学財団、米国南極プログラム、ハワイ大学、モンタナ大学の共同研究チームが発表した仮説で、そのキモは「南極の水は他の海に比べ、酸素濃度が高い」ということ。

研究チームの実験に使われたのは巨大なウミグモ。
これを温度や酸素濃度が異なる水へ移動し、変化を観察したところ、大きい個体ほど酸素濃度が低い海で生きることが難しくなる、という結論が出ました。
参考:南極で生物が巨大化、ポーラー・ジャイガンティズム(南極巨大化現象)の影響を受け巨大化したウミグモ : カラパイア

逆に言うと、酸素濃度が高いほど、より大きなウミグモが生きるための好条件になる、ということ。

・・・なるほど、この説は巨大化の秘密の全てを解き明かすものではないかも知れませんが、酸素濃度とは面白いところに目をつけましたね。
恐竜がなぜあんなにも巨大になったか、その理由の説明としても、当時の酸素濃度が高かったからだという説があるそうです。

もちろん他の説もあるようですから、これをもって正解としていいのかどうかはわかりません。
また、なぜ南極の海の酸素濃度が高いのか・・・?
このあたりをどのように説明するのか、研究が気になるところです。

 

極地巨大化現象がとりあげられるNHKの番組名と放送時間

南極の深海で繰り広げられる神秘と驚異が放送される番組は、

NHKスペシャル ディープ・オーシャン(第二集)南極 深海に巨大生物を見た

放送日7月16日(日)
放送時間21時00分から21時50分まで

おそらく再放送もあるだろうと思いますが、これを書いている現在、予定はまだ発表されていないようです。

 

まとめ

極寒の南極、しかもその深海で独自に進化を遂げた生物たち。
彼らにかけられた巨大化の魔法“ポーラー・ジャイガンティズム”。

いったいどのような理由でこの神秘が起きるのか、私が調べた範囲では酸素濃度が鍵のように思うのですが、研究が進むとさらに意外な原因が見えてくる可能性もあります。
生命の不思議は、尽きることのない興味をかきたててくれますね。

長文になりました。
最後までご覧くださったみなさん、どうもありがとうございました。

コメント

  1. 毛利 より:

    極地では地磁気の変動(超低周波磁気)が大きいため、磁気プロトニクス原理でATP生成能が高いので、生物巨大化現象が起きるのだと思います。NHKの貴重な映像を見ました。

    • くえり(query) より:

      毛利さま、情報をどうもありがとうございます.
      生命と地球の不思議を感じさせる現象ですよね.
      また、自分の想像力の限界も感じています.

      お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした.