毎年、夏の暑い盛りになると恋しくなるのが怪談。
聞いた後ではトイレに行けなくなってしまうけど、
あの魅力には抵抗できない
などという方も多いのではないでしょうか?
怖いもの見たさ、とはよく言ったものです。
とはいえ、怪談は話のうまい下手がとっても重要。
一流の話芸があってこそ、十分に怖がれ(=楽しめ)ます。
その点、講談師・一龍斎貞水(いちりゅうさい ていすい)さんは人間国宝の折り紙付き。
安心して怖がれます(ヘンな言い方ですが・笑)。
というわけで今回は一龍斎貞水さんの魅力やプロフィール、独自にあみだした立体怪談についてご紹介してみたいと思います。
一龍斎貞水の魅力
講談とは?
一龍斎貞水さんは講談師。
講談というのは、高座に据えられた小さな机(釈台・しゃくだい)の前に座って、調子や注釈をつけつつ物語を語る話芸。江戸時代の大道芸に起源があると言われています。テーマとしては軍記物や政談などの歴史をものが多いのですが、一龍斎貞水さんの得意分野は、何と言っても怪談です。
立体怪談
一龍斎貞水さんは、従来の講談の形式を踏まえながらも独自にそれを進化させ、現代の技術である照明効果や音響、大道具なども駆使した「立体怪談」を提唱・実践しています。
従来の講談の表現は音のみでしたが、さらに表現のチャンネルを加えたという意味で「立体」と称しているのだと思われます。
穏やかな面持ちから鬼の形相へ
実際、普段の一龍斎貞水さんはたいへん穏やかな風貌でいらっしゃいます。
ところが高座に上がって語り始めると実に恐ろしい形相に。
このギャップがまた一龍斎貞水さんの表現力になっています。
そしてこの恐ろしさをさらに際立たせるのが“立体”効果、すなわち照明などの新次元というわけです。
とはいえ、一龍斎貞水さんの言葉・声の力はかなり確かなもの。こうした立体のチャンネルがなくても、十分に怖いと思われます。
一龍斎貞水のプロフィールと経歴
一龍斎貞水(いちりゅうさい ていすい)
- 本名:浅野清太郎(あさの せいたろう)
- 誕生日:1939年6月29日
- 出身:東京府東京市本郷区湯島天神町(現在の東京都文京区湯島)
- 血液型:B型
- ジャンル:講談師
一龍斎貞水さんは、もともと役者さんを志していたそうです。
ですが、ある日講談組合の会長である邑井貞吉(4代目)さんと出会ったことで、寄席本牧亭に出入りするようになりました。まわりの人々からはその貞吉さんの孫と間違われて可愛がられていたそうです。
そんななか、5代目一龍斎貞丈さんから舞台に上がることを勧められます。
詳しいことはわかりませんが、一龍斎貞水さんも子どもの頃からラジオで演芸を聞いていたそうですから、好きだったのでしょう。その誘いに乗って、初舞台に上がります。何と学生服姿だったとか。
ところがこれが拍手喝采。以後、講談の道を歩み始めることになります。
1955年、都立城北高校に入学。
これと同時に、5代目貞丈に入門し、一龍斎貞春を名乗るようになります。
11年後の1966年には真打に昇進。晴れて6代目一龍斎貞水を襲名しました。
一龍斎貞水さんの受賞歴〜講談師初の人間国宝
- 1975年、芸術祭優秀賞 「鉢の木」
- 1976年、放送演芸大賞講談部門賞
- 2002年、重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
2002年から2006年にかけ、講談協会会長をつとめました。
人間国宝というのは通称で、正式には「重要無形文化財保持者」と言います。
どんな分野でもよいというわけではなく、いろいろな基準があり、一例では
そのままでは途絶えてしまう可能性がある分野であること
貴重な分野であること(文化庁の判断)
対象となる人物の技術が高度であること(各分野の推薦など)
後継者の育成が必要な分野で、対象となる人がそれを育成をできるかどうか
などがあるそうです。
一龍斎貞水さんの実家は居酒屋
奥さんが店主を務める居酒屋が、東京の湯島にあるそうです。
店の名前は「酒席 太郎」。
場所は東京メトロ千代田線の湯島駅から歩いてすぐ。
地図で示すとこのあたり。
古き東京の趣が漂っています。
今夜は湯島、「酒席 太郎」に行きました。美味しかった。ここは人間国宝、一龍斎貞水さんのご実家だったのですね。温かいお店でした。ありがとうございます。
— しゃもじ (@Ed2hdzA) March 2, 2016
一龍斎貞水の弟子は?
- 一龍斎春水(はるみ)旧芸名・麻上洋子
- 一龍斎貞友(ていゆう)旧芸名・鈴木みえ
という方がいて、いずれも著名な声優さんです。
麻上洋子さんは、かつて宇宙戦艦ヤマトのヒロイン・森雪。
一龍斎貞水が出演するテレビ番組
折よく、一龍斎貞水さんが出演するテレビ番組があります。
番組名は『林先生が驚く初耳学 夏の箱根SP』。
TBS系列で、放送日時は、2017年7月30日(日)、 22時00分から22時54分まで。
司会は有名予備校講師の林修氏。大政絢さんがアシスタントをつとめる人気バラエティです。
まとめ
以上、簡単ですが一龍斎貞水さんについての情報でした。
一龍斎貞水さんは現在で6代目。
初代は真龍斎貞水といい、生歿で言うと1839年(天保10年)から1874年(明治7年)の方だったそうです。貞水の名を今の時代に受け継ぎ、怪談という領域で開花させ、さらに人間国宝までかちとった6代目は凄いですね。
この夏も素晴らしい話芸を披露して、みんなを震え上がらせて欲しいです。
一方ではご高齢でもありますから、ぜひお元気で活躍し続けていただけたら、とも思います。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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