欅坂46の5thシングル『風に吹かれても』が、2017年9月29日の「SOL」で銀河系初オンエアされました。
曲調は先行して公開されていたメチャカリCMのパートそのまま。洗練された軽快さが心地よい印象です。同時にこれまでの欅坂46のイメージとは一線を画していてとっても新鮮!
ファンのひとりとしては、欅坂46の世界が広がるのは大歓迎・・・なのですが、これまでの欅坂のイメージとの違いに、少し面食らっているのも事実です。
ということで今回は、公開したての5thシングル『風に吹かれても』の歌詞の意味を読み直してみました。
- 『風に吹かれても』はどんな世界を歌っているのか?
- 『風に吹かれても』は、『サイレントマジョリティー』以来の欅坂と、どこがどのように違うのか?
- これまでの路線とのつながりはどうなっているのか?
- そこにメッセージはあるのか?
このあたりが気になっています。
例によってかなり主観的な記事なので、ご覧いただける場合はその点をご理解の上、お願いします。また“諸事情”により歌詞全文を掲載することができません。歌詞をお探しの方は専門サイトをご参照ください。せっかく来てくださったのに申しありません。
ではまず『風に吹かれても』の歌詞の世界を読み解いてみます。
追記:『風に吹かれても』のMVが公開されました
10月3日、待望のMVが公開されました。
はしゃいでいるようなてちの笑顔がとにかく眩しい!
『風に吹かれても』の歌詞の世界
樹から葉が落ちて行くところを、最後まで目で追ったことがあるでしょうか?
けっこう予測できない動きをするものですよね。意外なところで浮いたりもして、地面に到るまでには、思っているより時間がかかったりします。
そんなゆったりした動きに心を委ねると、胸の奥に埋もれていた言葉が聞こえてくる。『風に吹かれても』の世界はこうして開かれて行きます。
その言葉の内容は以下のようなもの。(歌詞の内容を私なりに理解したものです。)
まるで空気のように傍にいる存在が、
いつの間にか特別なものになっていた。
でも二人の間には、何も始まらない、
たとえ風が吹いてきたとしても。
こんな関係があってもいいんじゃないかな?
愛というものだって変化する。
なるようにしか、ならない。
二人の間にチャンスはあった。
そう思うとため息ばかりだ。
でも、それに気づかないのも僕たちらしい。
風があってもなくてもハッピーさ。
そばにいられればいい。
ハグもなく、キスもなくても、
ずっと続く愛しさ。
それが僕たちの愛し方。
曖昧なまま、そういうのもなかなか素敵じゃない?
と、ざっくりですが、こんな感じかと思います。
これまでとは真逆の『風に吹かれても』
それにしても、やはり戸惑うのはサビ部分。
風に吹かれても 何も始まらない
ただどこか運ばれるだけ
これまでの欅坂46だったら、この後には激しい否定が続いていたと思います。
- そんな風に流されるのは嫌だ、
- Noと言わなきゃ死んだも同然、
- 誰もいない道を進むんだ!
て感じで。
ところが『風に吹かれても』では、そんな予測とは真逆の歌詞が続きます。
こんな関係も 時にはいいんじゃない?
愛だってうつりゆくものでしょ
引用:欅坂46『風に吹かれても』より
え?、、えぇ〜〜っ?
て感じでしたね。私。
期待を見事に踏み越えられました。
そして、そこがカッコいい!
ガツンとやられちゃいました。
これまで一貫して、現状への抵抗を訴えて来た欅坂。
そんなんじゃダメだ、ついてこい!
的な激しさが新らしく、格好良かった。
でもこの5thではそういう強さ・激しさはなりをひそめ、今のまま、ありのままをさらりと肯定しています。
繰り返しますが、
時にはいいんじゃない?
うつりゆくものでしょ
引用:欅坂46『風に吹かれても』より
ですからね。
これまでなら考えられなかった。
『風に吹かれても』はツンデレ?
そしてそれを歌う中心には、バッサリ髪をショートにした平手友梨奈。
画像出典:『MECHAKARI 風に吹かれても篇 30秒ver.』より
モッズ風のスーツ+デキるやつぽい眼鏡をかけ、ハスに構えてこちらを見ています。イケメンな横目で。
これも今までとは対照的。
正面を向き、こちらの脳内を射抜くような視線を投げ掛けて来た『サイマジョ』以来の平手さんとは、かなり違ったイメージです。
「どう、こんな私たち、カッコいいでしょ?」
「ついてこれる?」
って、突きつけられているような気がしましたね。
言ってみればこれ、ツンデレみたいなもの。
今までは「そんなんじゃダメだよ、一緒について来なよ」と私たちに呼びかけてくれていたものが一転、「そういうのもアリなんじゃない?」と突き放し、「このままでいいんじゃない」とはしごを外して来た。
こっちとしては戸惑うけど、そんなてちに、ハートのほうはガッチリつかまれちゃってます。
何であんなに無邪気に笑えるんだよ!
キャロすぎ!
・・・完全にやられてます。
『風に吹かれても』は、欅坂46のカッコよさはそのままに、その中身をバージョンアップした曲と言えそうです。直接的で激しい格好良さとは違う、洗練されたスマートな格好良さ、とでも言いましょうか。
欅坂46の新しい引き出し
考えてみればデビュー曲以来の欅坂46には一貫したストーリーがありました。『月スカ』→『サイマジョ』ほど明らかではないけれど、他の表題曲にも『サイマジョ』との関係を色濃く思わせるような要素がちりばめられていましたよね。なのでファンとしては、それぞれの楽曲そのものを楽しむと同時に、深読みして自分のものにするという楽しみ方もできた。
でもその欅坂劇場は、他方では欅坂46のイメージを縛るものにもなっていたと思います。
メンバーも年齢が上がり、いつまでも反抗期というわけにはいきません。
とはいえ、欅坂の魅力は格好良さ。思わずついて行きたいと感じてしまうカリスマ的な魔力でもあります。これがアイドルシーンに一石を投じた欅坂46のアイデンティティでもあるわけで、いまさら乃木坂の姉さんみたいなお嬢さま路線にはいけません。(そもそも平手さんや志田さんが嫌がりそう・笑)
今回の『風に吹かれても』は、ちょっと行き詰まりかけていたこの路線を刷新する楽曲になっているような気がします。格好良さという看板はそのままに、その質をがらりと変え、新しい表現の世界を獲得した。そんな気がしたのは私だけでしょうか。
『サイマジョ』路線は終わったのか?
とは言うものの、格好良さという表面的な連続性だけ保って、『サイレントマジョリティー』や『語るなら未来を』、『不協和音』などで一貫してきた欅坂劇場をやめてしまったとすれば、それはそれで寂しい。初期からのファンほどそれを懸念しているのではないかと思います。
そもそも欅坂46の格好良さは、表面的なものだけではないですよね。メンバーの中にあるそれぞれの思いが託され、それが形として表現されていたから見る側の胸にも迫って来た。正面きって堂々とその心の叫びを表現する勇気に惹かれて来た。
そのため、さまざま物議をかもしてきた楽曲もありました。『エキセントリック』、『月スカ』の騒動は記憶に新しいところ。
TAKAHIRO先生のいうとおり、「形として美しくなくても、本人たちの気持ちが入る動き」が、欅坂のよさなわけです。その意味では表面だけの格好良さは、欅坂とはむしろ遠いものとすら言えそう。
カッコ良さの奥底にある強さ
ところが今回の『風に吹かれても』は、表面もかなりカッコいいんですよね。MV見てないけど、メチャカリのCMのパートを見ると、とてもスマートです。そこへ、だて眼鏡とあの物言いですから、「オレたちの無骨な欅ちゃんはどこへ?」と、戸惑っても無理ないと思います。
ですが、歌詞をよくよく読んでみると、けっこう興味深い点もあります。
『風に吹かれても』はラブソングですが、その恋は上にも書いたとおり独特な在り方をしている。
ずっと前から空気のように近くにいた存在。友だち以上の感情に気づいているけれど、言い出すことができない。
普通ならここで勇気をもって一歩踏み出そう、となるところでしょう。きっとうまくいくさ、と。
でもこの主人公はあえてそれをせず、こんな関係もいいんじゃないか、と肯定する。
どのみち風が吹いたところで、お互いの関係はなるようにしかならない。そばにいるだけでいいんだ。
しなやかな反抗と余裕のある勇気
この態度って、恋愛は激しく盛り上がらなければいけないもの、という世間の思い込みに対するアンチになっているのかも知れない。
今の二人のありのままを受け入れ、そのまま生きていこうとすること。これもひとつの強さだし、勇気と言えるかも知れません。
ハグやキスといったはっきりとしたピークなしに、それ以上の愛しさを実現する。
これ、なかなか野心的なことじゃないでしょうか。恋愛上の欅坂革命が、ここで謳われているのかも知れない、とも少し思います。
『風に吹かれても』はスマートな曲なので、あまり理屈でいじり過ぎるのもよくないでしょう。このあたりにしておきます。でもこの曲にも、やはりマイノリティに共感する欅坂46のメッセージと強さが、新しい形で表現されているように、私は感じます。
そしてその強さは、この夏の全国ツアーやライブを乗り越えてメンバーが獲得したもの。自信や信頼感・結束力込みの、いい意味での余裕・・・これまでの切羽詰まったものとは違う、しなやかな大人の強さとも言えるかも知れません。
欅坂の坂の上
話は違うのですが、メチャカリのCM版MVと楽曲に初めてふれた時、私はSMAPを連想してしまいました。スーツのせいもあるでしょうが、明るい雰囲気の楽曲をスマートに歌い踊る素敵さの質とでもいうんでしょうか、雰囲気がどことなく似た感じがしたのです。
折しも、国民的アイドルと言われたSMAPは解散した直後。もしかすると欅坂46が登る坂の上にはSMAPがいた場所があるのかも?なんて気もします。
男女、老若を問わず人気があったSMAP。アンチもほとんど聞いたことがありません。これまた唐突ですが彼らなら、来るべき東京五輪のキャラクターを担えたかも知れませんよね。
おわりに〜目指せ東京五輪!
御大・秋元さんは東京五輪に向けて何か考えていると思うのですが、その中で欅坂46はけっこう重要な鍵になっているんじゃないかと思うんです。もちろん、ファンとしての希望込みですが、目指せ公式アイドル!と応援しています。アンチのいないアイドルグループ、みんなに愛され、誰もが支持するスターに、なって欲しいと思います。
楽曲の話から明後日のほうへ逸れました。ごめんなさい。
ともかく、これからも欅坂46を応援したいという気持ちを新たにしています。
以上、『風に吹かれても』のいまのところの感想でした。MVが出たらまた少し変わるかも知れませんが、ともかく最後までご覧くださり、ありがとうございました。
ご不快な点があれば、どうぞご容赦ください。
コメント
はじめまして。このブログの欅坂関連の記事はいつも読ませていただいております。
記事の本題とは違いますが、間違いを指摘させてください。
NEWSコーナー内で「10月9日のレコメン内で『避雷針』が初オンエア」と記されていますが、レコメンで初オンエアされたのは『それでも歩いてる』(けやき坂46)と『波打ち際を走らないか?』(青空とMARRY)の2曲です。(フルではないけれど)
ちなみに『避雷針』はニッポン放送で10月6日放送の「こちら有楽町星空放送局」で解禁されました。(フルで)
これからも面白い記事を期待しています。
てちぴっぴさん、はじめまして!
ご指摘、どうもありがとうございます♪
一人でやっているものですから、教えていただけるとたいへん助かります!感謝、感謝です。
5thの発表自体が、私としては予想外の早さだったのでアタフタしていました。
どうぞこれからもよろしくお願いします(・∀・)ノシ
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