あなたは「嗚咽(おえつ)」の意味をちゃんとわかっていますか?
以下の三つのうち、誤っているものがひとつあります。
- 息を詰まらせるようにして泣くこと
- 飲み込もうとしてオエってなること
- 浮気の相手
間違ったままにしていると、思わぬところで恥をかくかも知れません。
実は私も曖昧なままにしていたのですが、正しい意味を確認してよかった!と胸を撫で下ろした記憶があります。
本文では嗚咽の正しい意味のほか、嗚咽の語源や嗚咽の間違った使い方など、調べてわかったこと全体をお伝えしています。お役に立てたら幸いです。
嗚咽の正しい意味
「嗚咽」の意味は、むせび泣くことです。
「むせび泣く」とは、息や声を詰まらせながら泣くこと。
嗚咽の泣き方
嗚咽は、例えばマンガでは「エッく、エッく」のように表現されています。
すすり泣きは「クスん、クスん」ですよね。
鼻をすすりながら泣いている状態で、息は鼻でしています。
これに対し、むせび泣きは喉で息をしており、時折その息がつかえている状態。
声をおしころそうとしても、しゃっくりみたいに胸や喉が動いてしまう。そんな泣き方です。
嗚咽の語源
嗚咽って難しい字ですよね。
「嗚」は泣くという意味で、「咽」はむせぶこと。
咽ぶとは息がつまり、つかえること。
あるいは流れなどがつかえることを意味します。
喉に食べ物がつかえてむせる場合も咽ぶの範囲内ですが、現代では“むせる”のほうが使いやすいイメージです。
嗚咽の使い方・例文
嗚咽の使い方として、よく見かける例は次のようなもの。
「嗚咽する」 悲しみのあまり、私は嗚咽した。
「嗚咽を漏らす」 彼は身体を震わせ、嗚咽を漏らしていた。
「嗚咽がこみ上げる」 こらえきれない悲しみに、嗚咽がこみ上げてきた。
嗚咽の間違った使い方
嗚咽は「むせび泣く」という意味なので、「泣きながら嗚咽した」は少しおかしい。
こういう場合は、号泣している最中に息がつかえているのを嗚咽とイメージしているのかも知れません。
ですが「泣きながら嗚咽した」を分解すると、「泣きながら咽び泣いた」になってしまうので、やはりおかしい気がします。
嗚咽はおえってなるのとは違う
よくある間違いが、
- 「靴下の匂いで嗚咽した」
- 「二日酔いで嗚咽がこみ上げてきた」
などのような使い方。
これは「おえつ」の読み方から「オエッ」という状態を連想することから来る誤解。
喉がつかえる状態という意味では近いですが、嗚咽はあくまで泣いている状態。吐き気とは全く違います。また、オエッとなる状態には「えづく」と言う表現があります。
泣き方の表現いろいろ〜慟哭・号泣・しくしく・さめざめ
嗚咽と同様、よく小説などで見かけるのが「慟哭(どうこく)」。
慟哭は、大声で泣いていますが、涙を流しているよりは嘆いているイメージが強い。哭はなげくの意味です。
号泣は割と今でも使いますね。
号は叫ぶとも読み、叫びながら泣いているイメージ。
慟哭と号泣を合わせたような、号哭(ごうこく)という表現もあります。
叫び、嘆いている。嘆くには泣くことが含まれていますので、かなり取り乱している状態かも。
難しい表現では啼泣(ていきゅう)という言い方も残っています。
声に出して泣くことを意味しますが、ほとんど使うシーンはなさそう。
泣く様子を表すには、これらのような熟語より、「しくしく」「めそめそ」「さめざめ」などの副詞とともにしたほうが使いやすいですね。
「しくしく」は弱々しく泣く様子を、「めそめそ」はそれをずっと続ける弱々しい状態を表しています。
「さめざめ」は静かだけれども涙はあふれている様子です。
日本語って難しいけど、豊かですね。
英語で嗚咽はsob
嗚咽にあたるような英語はあるのでしょうか?
「泣く」を意味する英単語は主に三つ。
cry、weep、sob、があります。
cryは泣く様子一般を指し、大声で泣いたり怪我をして泣いたりする場合などに使われる。
weepは、cryに比べると静かで、でも長時間泣いている。感情的に傷ついた時もweep。すすり泣くが近い。
sobはcryに比べると、泣いている仕草の面に注目しているイメージ。しゃくりあげている時などはsob。
というわけで、三つのなかではsobが嗚咽に近いと言えます。
2chでのおえつの意味が不思議
嗚咽はネットスラングでも使われています。
この場合は文脈が全く異なり、意味は「浮気相手」のことになります。
使うのはもっぱら既婚男性で、不倫関係が成立していない片想い状態の時も、相手女性を嗚咽と呼ぶそうです。
どこがどうなって嗚咽=浮気相手になったのかは、今では謎とされています。2chの限られた板で使っていたものが広まり、広まったころにはソースが不明、という状況。あるいは悟られてはいけない情報が飛び交っていたため、思いもつかない語をあてたのかも知れません。
嗚咽はoa2とも表記されますが、漢字が先なのか、記号が先なのも不明です。
まとめ
以上、嗚咽の意味や使い方について、でした。
最初の三択質問の答えは2番目になります。
最初の「息を詰まらせるようにして泣くこと」は、嗚咽そのものの正しい意味です。
二番目の「飲み込もうとしてオエってなること」はよくある間違いの例。
三番目の「浮気の相手」は、本来の嗚咽の意味からかけ離れていますが、隠語として一部で流通しています。
「嗚咽」=「オエってなること」と思っていた方は、今のうちに認識を上書きしておいてくださいね。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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