ピースサインって、もともとどんな意味なんでしょう?
写真を撮る時にノリでやってますが、いつから使われているんでしょう?
由来はけっこう血なまぐさく、きちんと知らずに使っているとけっこうヤバい場面もある。
本文では、このあたりも含めてピースの意味を書いて行きます。
また日本で広まったのはいつ頃なのかもみていきましょう。
ピースサインの由来
「やれるもんならやってみな!」百年戦争
ピースサインを遡ると、百年戦争のイングランド軍にいきあたります。
当時イングランドは飛距離が長く、威力も強いロングボウと呼ばれる弓を使っていた。
フランス軍はそれにかなり苦しめられていたため、イングランド兵を捕虜にすると、再び弓を引けないように指を切り落としたのだそうです。
これを逆手にとったイングランド兵。
自らの人差し指と中指を立て、フランス兵を挑発した。
「切り落とせるものなら切り落としてみやがれ!」
という感じですね。
これとは別に、イングランド軍が生還した時に、自軍に向けて行なったという説もあるようです。
こちらは、
「指はある、生きて帰ったぞ」
という感じでしょうか。
「負けるものか!絶対勝つ!」BBCとチャーチル
とはいえ、百年戦争は14世紀から15世紀の話。
Vサインの起源はチャーチル首相というのが定説です。
チャーチルはイギリスの首相として、ヒトラーのドイツと戦っていました。
戦争当初のドイツは破竹の勢い。これに負けじとイギリスの放送局BBCは「V for Victory(勝利のV)」キャンペーンを始めます。ドイツに占領された国々に向け、我々は負けないぞという意思表示として「V」の字を使うことを呼びかけた。すると占領下の国々のいたるところにVの字の落書きが現れたと言います。
*参考:Vサイン – 「V for Victory」キャンペーンと、勝利=自由のサイン – Weblio辞書
チャーチルはこの「「V for Victory」運動を支持。
ドイツに押され気味だったイギリスの士気を高めるため、あちこちで二本の指を立てて見せはじめた。
こうしてVサインは一気に広まっていきます。
「ピィ〜ス!」ベトナム反戦活動でのパロディ
でも戦いのためのVサインが、なぜ平和を意味する“ピース”サインになったのか?ここが謎ですよね。
これには1960年代の平和運動が関係しています。
当時の反戦活動や学生運動、ヒッピーなどのカウンターカルチャーの人々の間で、Vサインが流行しました。
彼らは報道のカメラなどに向け、「ピース」と叫びながらVサインをした。
かつて戦争を継続するためにチャーチルが用いたVサインを、反戦運動の継続・平和の戦いのサインとして用いたのです。カウンターカルチャーらしい皮肉な転用と言えるのかも知れません。
いずれにしてもピースサインの由来は戦争と切り離せないようで、この点では血なまぐさい背景を持っています。それが今のように、にこやかな笑顔で行なえる世の中というのは、本当に平和ならでは。ありがたいことです。
日本で広まったのはいつから?
日本でピースサインが広まり始めたのは、1970年代という説が有力です。
札幌冬期五輪のジャネット・リンから
1972年には札幌で冬季オリンピックが開かれました。
この時、フィギュアスケートのアメリカ代表だったのがジャネット・リン選手。
フィギュアの歴史では必ず出てくる伝説の女子選手ですが、愛くるしい笑顔で日本でも大人気となります。
一方で彼女は熱心な平和運動家で、いろんな場面でピースサインを披露した。
当然、多くの日本人がピースサインを目にすることになりました。
井上順のコニカのCM
やはり1971年頃、コニカ(現コニカ・ミノルタ)のCMで、タレントの井上順さんがキメポーズとして使っていたそうです。厳しい突っ込みに対して「平和にいこう」という意味のもちネタだったとか。
おそらくこれらは代表的な例で、当時の世界的な運動が、さまざまな形で日本に入ってきていたのでしょう。そのなかで、Vサイン=平和を愛するサインとして、日本人のなかに定着していったと思われます。
はっきりしたことは言えないのですが、同時代に流行していたのが『サインはV』というスポコンバレードラマ。タイトルはそのままVサインからとられています。また野球漫画の古典的名作『巨人の星』でも、主人公星飛雄馬を見送る父・一徹がVサインで送り出すシーンが有名です。
これらの例には平和の意味はまだありません。ですがVサインの認知が急速に広まっていることがうかがえます。
知らずにピースサインを使うと怖い国
さて、ピースサインを調べているうちに、やってはいけない地域があることがわかりました。
ピースすると、かなりヤバい意味に受け取られてしまうんです。
いずれも裏ピース、つまり手の甲側を相手に向けて行なうピースサインなのですが、こういうのって知らないと怖いですよね。
ギリシャでは挑発
ギリシャで裏ピースは「くたばれ」という意味があるそうです。
挑発ですね。
百年戦争の挑発的な意味の名残りがギリシャにも伝わったのか?
それはわかりませんが、Vサインの裏の意味はまだ残っているようです。
イギリスやオーストラリアでは
これも裏ピースですが、イギリスやアイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどの国では性的な侮辱・卑猥な意味に用いられるそうです。
いわゆる「fu** you !」的なやつですね。
こんな風に解釈される場所で、私たちが普段使っている“表ピース”をやったらどんな風に伝わるんでしょうか?
元がよい意味ではないだけに、さらにヤバい意味にとられてしまうかも?
原爆説は誤り?
もうひとつ、珍説がありました。
さきほど出てきたイギリス首相・チャーチルが日本への原爆投下を知ったとき、
- ひとつはヒロシマ、
- もうひとつはナガサキ、
という意味で二本の指を立て、これは平和のための勝利だ、と言ったとか。
勝利を意味するVサインが平和のサインに転換した謎を説明する話ですが、どうもこれは根拠が怪しいようです。ネットで出回る“まことしやかな話”のひとつかも知れません。
中国や台湾、韓国で使っても大丈夫?
日本ではすっかり定着しているピースサイン。でも書いてきたとおり、世界共通ではありません。
では、近年特に交流が強くなっているアジアの国々ではどうでしょう?
中国、台湾、韓国などでは、けっこうピースサインが使われ出しているようです。
でも平和の意味があることは意識されているかどうか?
日本でも実際には、単に「イェ〜!」的なノリやっている場合が多いですよね。
ピースサインの意味まとめ
以上、簡単ですがピースサインの意味を、由来をたどりながら見ていただきました。
ポイントは、
- Vサインを広めたのは第二次大戦下のチャーチル。
- ドイツに勝利するため、victoryのVを象徴にした。
- 戦後の平和運動の中で、Vサインは平和の戦いの象徴として使われた。
- 日本に広まったのはその動きと符合する1970年代。
でした。
ピースサイン本来の意味はともかく、時代とともにピースの意味も変化していると思います。
写真を撮る際のキメポーズと、そのポーズをとる際の合図として使われているのが実際なのかも知れません。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。v(^^)v
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