「下世話」って、けっこうよく使う言葉ですよね。
でもその使い方、合ってますか?
例えば次の三つの使い方、どれが誤っているでしょう?
「下世話な話、あの人けっこうお金もらってるよね」
「あなたも下世話な話が好きねぇ www」
「ごめんなさい、下世話な話なんだけど・・・」
けっこうよく聞く使い方ですが、間違っているとけっこう恥ずかしいかも。
というわけでここでは、「下世話」の意味や使い方について、簡単にまとめました。
また、どうして間違った意味で使われるようになったのか? その理由にもふれてみます。
上の問題の答えは、すぐ後で書きますね。
「下世話」の意味が誤解されすぎている
答え:上の三つとも全部、間違いです。
そして上の三つとも全部、自分がよく使っていたフレーズです。
間違いと知ったときは恥ずかしかった・汗
みなさんは大丈夫でしたか?
意外に私と同じという方もいらっしゃるかも?
「下世話」の読み方と意味
「下世話」は「げせわ」と読みます。(最初にいちおう確認です。)
そして「下世話」の意味は、「世間でよくいわれている話や言葉」を指します。
下々(庶民)の+世の(世間)+話=世間話。
これが転じて、「俗なことや様子」を指したりもする。
ここで言う「俗」には、「低俗な」という意味はありません。
大衆的な・世間一般の・庶民の、くらいの意味と理解したほうがよいでしょう。
「下世話」の使い方と正しい理解
例文で見る「下世話」の使い方
例えばweblioには、下世話の例文として次のようなものが掲載されています。
「下世話」の理解のために引用させていただきます。
下世話に言うわれ鍋にとじ蓋だ。
*引用:「下世話」に関連した英語例文の一覧 – Weblio英語例文検索
余談ですが、「われ鍋にとじ蓋」とは、身分相応とか、似た者同士といった意味の慣用表現です。
この例文の「下世話に言う」の部分を他の言葉で言い換えるとしたら、「俗に言う」とか「世間話でよく言う」などがハマるでしょう。
俗にいう「われ鍋にとじ蓋(=似た者同士)」だ。
世間話でよく言う「われ鍋にとじ蓋(=身分相応)」だ。
意味が通ります。
「下世話」はこのように「世間話的な」などと置き換えられる言葉なのです。
英訳するとさらに意味が明らかに
上の例文は英訳もされていて、以下のように表現されています。
Every Jack has his Jill, as the (popular) saying goes.
*引用:「下世話」に関連した英語例文の一覧 – Weblio英語例文検索
「Every Jack has his Jill」は「われ鍋にとじ蓋」の英語版です。
で、「下世話」には the (popular) saying があてられています。
「大衆的な」とか、「広く一般に言われている」 saying(ことわざ) となるでしょう。
このように本来の「下世話」には、ネガティブな意味はありません。
「下世話」が実際に使われている場面での意味
ところが現実の使われ方を見ると、「下世話」は「下品な」とか「いやらしい」など、ネガティブなニュアンスのもとで使われることが多い。
冒頭の三つの例で言えば
「下品な話だけど、あの人けっこうお金もらってるよね」
「あなたもいやらしい話が好きねぇ www」
「ごめんなさい、品のない話なんだけど・・・」
などという意味になります。
でも、こちらの方が正直ピンときます・・・私だけでしょうか?
自分の間違いを正当化するわけではありませんが、現在では、「下品な」という意味で使われているほうがむしろ多いのかな、と私は感じています。
「下世話」はなぜ「下品」になったの?
では「下世話」はどうして「下品」になったのでしょう?
元々は「世間話」だった「下世話」。ですが、今の世の中で世間話と言えば、ワイドショー的なゴシップやスキャンダルなど、品のない話ばかりです。人前で話すのがはばかられるような話ほど刺激的で面白いから、メディアもそういうものをとりあげる。そして受け取る側もそれに慣れてしまっています。
そんななかでいつのまにか「世間話=下品な話」ということになってしまったのかも知れません。
これに引きずられる格好で、もともと世間話を意味していた下世話も、下品な話になってしまった・・・下世話の「下」という字からの連想もあったかも知れませんし、語頭のges=「ゲス」という音の連想も関係しているかも知れない。
もちろん私の推測にすぎません。でももし「庶民の話=下品な話」になっているとしたら、この状態そのものが個人の間違いのレベルを超えて、世の中として恥ずかしいことかも・・・と思います。
下世話の意味と使い方まとめ
最後のほう、ちょっと話題がずれてしまいましたが、「下世話」についてご案内してきました。
ポイントをふりかえると
- 下世話のもともとの意味は、世間でいう話・世間話。
- 下品な、いやらしい、という意味はなかった。
- しかし現代ではそのような意味合いが強くなってきている。
理由は、現代の世間話がほぼ下品な話題になっているからではないか・・・これは私の推測です。
言葉の意味は時代を映して変化していきます。
なので、元の意味とは違う現代風の意味で「下世話」を使ってもいいのかも知れません。むしろ元の意味を、ひとりだけ正しいと言い張って押し通そうとするほうが恥ずかしいことになるかも?
ただ、この「下世話」の変化はちょっと、世の中的に恥ずかしい変化の結果なのかも知れない、と私は感じています。
みなさんはいかがお感じになるでしょうか。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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