世間を騒がせている日大アメフト部部員による悪質プレイ問題。
当該行為を行なった日大の宮川泰介選手の記者会見が、さきほど5月22日(火)15時頃から、約1時間にわたって行なわれました。
会見そのものは、宮川選手の大方のイメージを大きく変えるものとなったように、私は感じています。加えて、脇についていた代理人の弁護士先生の取り回しがなかなか印象深かった。
ということでその宮川選手の代理人・西畠正弁護士について、会見中の様子やプロフィールなど情報を集めさせていただきました。
悪者から一転? 宮川泰介選手の謝罪会見
きわめて悪質な反則行為を行なってしまった日大の宮川泰介選手。
彼が行なった危険プレイの映像は日々繰り返されていますので、宮川選手への世間のイメージは、すこぶる悪かった、と言わざるを得ません。
しかしこの会見で宮川選手は、自ら言葉を選びながら、終始誠実に、記者からの質問に答えていました。
そもそも顔出しで記者会見を開けば、いろいろなリスクを背負いこむことになります。
それでもあえて記者会見を行なったのは、まず「相手選手への謝罪の出発点」として、ということらしい。
「顔を出さずに何が謝罪か」、という主旨の言葉も、会見中にありました。
なるほど、よく言った、という感じです。
この宮川さんの姿勢を見て、最近の国会で繰り返されているシーンとつい比べてしまった人も多いことでしょう。
もちろん宮川さんがやってしまったことは消えるわけではありません。当然ながらそのことも本人はわきまえており、
「指示があったとしても、自分がやらなければいいことだった。」
「冷静な判断力を失っていた自分の責任であり、それは自分の弱さから出たこと」
という主旨の話をしていました。(*言葉はそのままではありません。意訳しています。)
一方で、内田監督や日本大学などに関する質問には、
「自分があれこれいう立場にはない」
という、これも至極まっとうな受け答えを貫いていました。
「これは謝罪のための会見であるから」というのが理由です。
この会見により、世間の宮川さんに対するイメージはかなり変わったのではないか、と感じています。
会見につきそった西畠正弁護士がキレる!
このNIPPOの記者クラブでの会見には、弁護士の先生が同席していました。
お二人おり、そのうち主導的だったのが西畠正弁護士。
冒頭書いたとおり、この弁護士先生のキレがなかなかよかった。
日本記者クラブでは異例の弁護士同席
そもそも、日本記者クラブの記者会見に弁護士さんが壇上で同席するのは異例なことだそうです。
それは司会の方が会見冒頭でおっしゃっていました。
同席が認められたのは、当事者である宮川さんがまだ20歳になったばかりの若さだったから。
今回に限った異例のことであり、前例とはならない、と司会の方が最初におっしゃっていました。
会見に至った経緯の説明が楔をさした
西畠代理人が有能だと感じたのは、まず冒頭。
宮川選手が陳述書を読み上げるに先立ち、会見に至るまでの経緯を、時系列に従って説明しました。
そもそも日大も内田監督も会見をしていない状態で、宮川選手が先に会見をすれば、いろいろな風当たりが起きるかも知れません。西畠氏はそのあたりも考慮し、会見に至った事情を逐一説明したわけです。
宮川選手を守る立場としては、こういう外堀に釘をさしておくことは大切だなと見ていて感じました。
肝心の理由は、
- 日大の対応が遅いこと
- アメフト部としての聴取がないこと
だったようです。
罪悪感にさいなまれている本人としては、一刻も早く謝罪したいと考えていたのでしょう。
この記事末尾に、当日配布された資料をもとにした流れをつけています。
アメフト部としては、宮川選手に聴き取りを行なっていない様子が伺えます。
会見の目的を明言
それと同時に、この会見が相手選手や関学大への謝罪のためのものであることをはっきりと宣言。
事実関係への関心や、あわよくば内田監督への恨み節を引き出したい(?)マスコミの思惑に釘をさしました。
今後を見据えて宮川選手を適切フォロー
また、宮川選手への記者たちの質問についても、刑事事件に発展する可能性を見据えて適切に横やりを入れるなど、俊敏な対応がありました。
まあ20歳そこそこの宮川選手、しかも世間的には逆風が吹いているなかでしっかりフォローしているなという印象。弁護士なら当たり前なのかも知れませんが、会見を見ているうちに宮川選手にやや同情的になっていた自分にとっては、この西畠弁護士の存在に、少し安心感に似たものを感じました。
お父さんのコメントを読み上げた時の情感
さらに会見終了まぎわ、お父さんのコメントを西畠氏が読み上げる一幕があったのです。
これは私の勘違い・見間違いなのかも知れないのですが、そのコメントを読み上げる西畠氏の声が、一瞬震えているように聞こえました。
西畠氏はお父さんの気持ちに同情なさり、感極まったのかな、などとも感じた一瞬だったのですが、もし私のこの印象が勘違いでなければ、温かい気持ちの弁護士さんなんだなと思います。
若い人のしでかしたとんでもない失敗、この謝罪がその再起に向けての一歩になるのかどうかは、まさに今日の会見にかかっていたと言ってもいいでしょう。西畠弁護士にはそこのところがとってもよくわかっていた、そんな風に感じました。
西畠正(にしばたけただし)氏のこと
西畠正弁護士は、「多摩パブリック法律事務所」の所長さんでいらっしゃいます。
所長就任は2014年。
好きなものは硫黄臭い温泉や焼酎だそう。庶民派ですね。
弁護士としての活動も、地域の労働者や障がいのある人、社会的弱者の立場に立つことがやいがいだと語っておられます。労災や職業病に関する問題をライフワークにしているとか。
生まれは国家公務員のご家庭で、東京、福岡、東京と移り住み、現在は多摩に落ち着いています。
自らのスポーツマンで、少林寺拳法は黒帯の腕前。
多摩パブリック法律事務所の場所と受付日
多摩パブリック法律事務所の所在地は、東京都立川市曙町2-9-1 菊屋ビル8F
受付は予約が必要で、原則的に毎週月曜日と水曜日と金曜日の午後。
それと第1、第3、第5土曜日に法律相談ができます。
30分5,400円、とのこと。
おわりに
世間を騒がせ続けている悪質プレイ問題。
宮川選手のしてしまったことは取り返しのつかないことだけれど、人生に失敗はつきものです。
会見の様子では、おかしな人間には見えないし、何とか再起のきっかけをつかんで欲しい、とも思います。
一方で、責任をとると言いつつ事実関係をまだ明らかにしていない監督さんと日大側。
宮川選手の人柄が明らかになった今、必然的に世間の注目が集まることになると思いますが、どんな対応をするつもりなのでしょうか?
追記・会見までの流れ
*会見当日の資料を見ながら作成したもので、文書のほぼ引用です。
(間違いや誤植があるかも知れないので、孫引きはご遠慮ください。責任はもてません、あくまで参考としてお願いします。)
5月8日(火)宮川選手がグランドに行き、監督・コーチ・チームメイトと顔を合わせる
5月9日(水)宮川選手はオフで自宅で過ごした
5月10日(木)関学アメフト部から日大アメフト部に申し入れ文書
5月11日(金)宮川選手と両親が監督を尋ね、個人として怪我をさせた相手に直接謝罪をしたいと相談したが、止められた。事実については聞かれなかった。
5月12日(土)本人、コーチが謝罪のため関学へ。だが断られ、受入れられなかった。
5月13日(日)宮川選手はオフで自宅で過ごした
5月14日(月)宮川選手と父親が呼び出され、学生連盟の規律委員会から事実の聴き取りがなされる。
5月15日(火)代理人弁護士に、父親から相談
5月16日(水)代理人弁護士が宮川選手本人と両親から聞き取り。この日は大学本部から宮川選手への呼び出しもあった。宮川選手のお父さんにはOBからの呼び出しがあったが、断ったとのこと。この日、代理人から日大本部へ連絡。代理人と父親が本部の聴取に応じる約束をする。
5月17日(木)午前中に日大本部から本人と父親が聴き取り調査。アメフト部からではなく日大として聴取。
5月18日(金)本人と両親が、関学被害選手とその両親、関学アメフト部監督に面会し、謝罪の意を伝える。
5月19日(土)代理人事務所で宮川選手の陳述書作成
5月20日(日)規律委員会(規律委員会の代理人弁護士事務所)の、宮川選手・お父さん・代理人(西畠氏)へのヒアリング
5月21日(月)日大本部から事情聴取。部としてではない。大学の対応が遅く、部としての事情聴き取りの予定がないことから、記者会見を決意。
5月22日(火)宮川選手の記者会見
コメント