歴史的な米朝首脳会談から一夜明け、CVID(シーブイアイディー)なる言葉を耳にするようになりました。
どうやら北朝鮮の非核化と関係があるようですが、はっきりしないのでその意味を確認しました。
以下、CVIDとは何の略で、どんな意味なのか、を中心に書いてみます。
CVID(シーブイアイディー)とは何の略?その意味は?
CVIDとは、
- Complete(完全な)
- Verifiable(検証可能な)
- Irreversible(不可逆的な)
- Denuclearization(核の放棄)
の略。
日本語で意味をたどって行くと、「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」となり、最近テレビなどでよく聞こえてくるフレーズであることがわかります。
これはアメリカが北朝鮮と交渉をする際に掲げる基本方針。
マイク・ポンペオ国務長官が標榜していると言われています。
遡ればブッシュ政権が掲げたスローガンでもあるそうです。
CVIDの背景
と聴いても、いまひとつピンと来ないな、という人もいるでしょう。
不可逆、なんて普通は使わない言葉ですもんね。
要は北朝鮮が開発してしまった核ミサイルの脅威を取り除くため、北朝鮮に核技術を根こそぎ放棄させたい、というアメリカの方針を指していると考えてよいでしょう。
昨年来、私たち日本人も物騒な思いをさせられてきましたが、北朝鮮は大陸間弾道弾をどうやらある程度開発してしまった。そのミサイルの射程はアメリカ本土まで届くとか、届かないとか言われています。
アメリカとしては自分の国土に核ミサイルが届くなんていうのは容認できない。そこで何とか北朝鮮に、核に関する技術ごとミサイルを放棄させようというわけです。
CIVDって結局なんなの?
そんなわけで、目指すは「完全な(Complete)」核技術の放棄、ということになるわけですが、実際に北朝鮮が核技術を放棄したということを確かめることができないと、アメリカは安心できません。これが「検証可能な(Verifiable)」というやつですね。二番目の「V」です。
さらに、一旦核技術を捨てたとしても、再び開発してミサイルを保有されたらたまらない。これが三番目の「不可逆的な(Irreversible)」という部分。不可逆というのは「再び逆に戻ることはできない」という意味ですね。再び核をもつことも含めて、絶対にないようにさせる、ということです。
これらが全て「核の放棄(Denuclearization)」にかかって、「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」となるわけです。
CVIDの問題点
確かに北朝鮮がCVIDに沿って核技術を放棄してくれれば安心ですよね。
まさにその枠組みでこれからやっていこう、ということが6月12日の米朝首脳会談で決まったわけですが、具体的な内容には踏み込んでおらず、トランプ大統領の実績作りのショーだったのではないか、などという批判も出ています。
一方の金正恩委員長の立場からすると、核ミサイルは超大国アメリカから自分たちを守る盾でもあるわけで、そうそう簡単には手放せないはず、ですよね。
そこで問題視されているのがCVIDの問題点。
そもそもこの「D」の内容・範囲がよくわからない、という話があります。
非核化、という時、私たちの立場からするとそれはもっぱら北朝鮮の核放棄を意味しています。
上の説明も、そういう文脈で書いてきました。
ところが北朝鮮の立場からすると、朝鮮半島全体の非核化のつもりで言っているのかも知れない。
要するに「在韓米軍を含めて朝鮮半島全体から核を無くそう」。そういう話なら北朝鮮としても安心だし、合意しやすい。目の前で核武装可能な戦闘機やら空母やら原潜だのがうろうろしていては、北朝鮮だって伝家の宝刀・核ミサイルを手放しにくいはずです。
だから、CVIDすなわち「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」が話題になった時には、それが北朝鮮に限定された意味で使われているのか、朝鮮半島全体の意味で使われているのか、注意しておいたほうがよさそうです。
今回の合意も、もしかするとこの大事な点を置き去りにしたままなされたのかも?
外堀から埋めるというのは交渉事ではよくあることですが、もしそうなら一触即発の時限爆弾を中核に残したままの合意、と言えるのかも知れません。
おわりに
以上、ごくごく簡単ですが、米朝首脳会談をうけて注目が集まっているCVIDについてまとめました。
もう一度振り返りますと、
CVIDは、Complete(完全な)、Verifiable(検証可能な)、Irreversible(不可逆的な)、Denuclearization(核の放棄)の略。
意味は「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」となります。
ちょっと気になるのは、このCVIDが北朝鮮に限った話なのか、朝鮮半島全域を指す話なのか、という点。
このあたりからニュースを読み解いて行くのもよさそうです。
最後におことわりしておきますが、私は市井の個人で、外交の専門家でもニュース解説者でもありません。以上の記事はニュース視聴者の一般人目線で書いたものなので、その点はご了承ください。何かあっても特に責任は負いかねますので、あしからずよろしくお願いします。
コメント