「胡散臭い(うさんくさい)」って時々聞きますが、この「胡散(うさん)」って何なんでしょう?
言葉の成り立ちから考えると、どうやら“怪しい臭い”がするものらしい?
龍角散や、漢方で使う生薬が語源になってる雰囲気もあります。
というわけで今回はこの「胡散臭い」の意味を確認し、
「胡散」の由来・語源について確認してみようと思います。
胡散とは果たして何なのか?
私と同じく気になってる方のモヤモヤをスッキリさせられたら幸いです。
余談ですが「胡散くさい」アニメキャラも、三人あげてみたいと思います。
胡散臭いの意味とは何?
まず「胡散臭い」の意味ですが、これは「どことなく怪しい」と理解してよいでしょう。
立派な身なりをしているんだけど、どうもハリボテっぽくて嘘くさい。
見た目と正体に違いがありそうな場合に使うと、特にしっくりくる気がします。
「言ってることはまともなんだけど、どうも胡散臭いんだよな・・・」
違和感があるので、反射的に警戒してしまい、簡単には気を許すことができない・油断がならない。
「胡散臭い」の背景には、そんな心情も動いている気がします。
要はインチキくさいんですね。
胡散臭いの「うさん」って何? 語源・由来に関する4つの説
「胡散くさい=怪しい」というわけですから、「胡散」というものは“怪しいもの”、あるいは“怪しい臭いがするもの”のようにも思えます。
でもみなさん、胡散って見たことがありますか?
イメージ的には、中国産の生薬のような名前です。
漢方薬なら、臭いがきついものも確かにありそうですよね。
実際に「胡散」が存在するとしたら、その“怪しい”匂いをちょっと嗅いでみたい気もする。
ですが、どうやら胡散はそういうものではなくて、語源も別のところにあるみたいなんです。
漢語「胡乱」説
胡散の語源として有力なのは、「胡乱」という漢語説。
うろん、と読むそうです。
「正体が怪しく疑わしい」を意味する言葉なので、「胡散臭い」と直球で繋がります。
付け加えると、「胡」には、「でたらめ」という意味があるそうです。
なるほど、ですね。
ですが、なぜこの胡乱(うろん)が胡散(うさん)になったのかは不明。
昔の手紙の文字って流れるような曲線で書いてあります。
それで誤読が広まってしまった、という可能性も考えられます。でも本当のところはよくわかりません。漢語の場合は逆にしっかりした楷書ですし・・・。
天目茶碗説
もうひとつの説は「烏盞」という茶碗から来たというもの。
こちらは「うさん」と読むそうで、読み方の上ではこちらの説のほうがスッキリします。
烏盞は黒い釉薬をかけた天目(てんもく)茶碗。
「胡散くさい」をマンガのキャラに例えると?
茶碗や湯のみなどの陶磁器って、表面がガラスっぽく光っていますよね。あの質感を実現するのが釉薬で、焼くとガラス質になって陶磁器の強度や堅牢性を高めます。中国の浙江の天目山付近では鉄を多く含んだ黒い釉薬が用いられていて、そこで作られた茶碗が天目茶碗と呼ばれます。
ただ、ひと口に天目茶碗と言っても窯によっていろいろあって、建盞(けんさん)、玳皮盞(たいひさん)、鼈盞(べつさん)などというものが知られています。烏盞もこうしたものの一つ、ということになるのでしょうが、これ以上は専門家ではないので詳しいことはよくわかりません。ただ、おそらくですが、「烏」はカラスなので、釉薬の黒い色からそう呼ばれているのではと思います。
この釉薬の匂いがちょっと気になります。
ご存知の方がいらっしゃったら教えていただけないでしょうか?
Vsanna(うさんな)説
ほかには、ポルトガル語のVsanna(ウサンナ)が語源では、という説があるそうです。
ウサンナは怪しい、とか怪しい人という意味なんだとか(ネット調べ)。
この説では音の面でも意味の面でも「胡散臭い」にハマりそう。
でも胡散という言葉はポルトガルの言葉が入ってくる以前から使われているそうで、「胡散臭い」の語源と考えるには時代的に無理があるそうです。
生薬・漢方薬説
第一印象で私が感じた生薬・漢方薬説ですが、これは全然ダメみたい。
胡散という薬は現在も、過去にも、存在した記録がないそうです。
ひとつ「胡散を煎じてみた」という記事を見つけたのですが、エイプリルフールのネタでした。
記事として面白かったのでリンクさせていただきます。
→ 「胡散臭い」 の 「胡散」 を煎じてみた: tak shonai’s “Today’s Crack” (今日の一撃)
「胡散臭い」と「きな臭い」との違いは?
ところで、「なんとなく怪しい」という意味を考えると、似た表現に「きな臭い」という言葉があります。
「胡散臭い」と同じく「臭い」がついていますが、違いは何でしょうか?
「きな臭い」は紙や布などが焦げた臭いを指します。
「胡散臭い」の「くさい」は「〜〜ぽい」という意味なのに対して、「きな臭い」は「におい」そのもの。「焦げ臭い」に近い使い方です。「きな臭い」は、炎を連想させるところから火薬の臭い、つまり戦争の気配〜ただならぬ火種の予兆、のような意味で使われます。
つまり、同じ「なんとなく怪しい」という意味でも「きな臭い」は「胡散臭い」よりも、かなり緊迫した争いの気配が漂ってくるわけです。
「あの政治家は胡散臭い」と言うのと、「あの政治家はきな臭い」というのとではかなりニュアンスが違ってきます。
基本的には、人に対してきな臭いとは使わないと思いますけどね。
人はどんな時「胡散臭い」と感じるか?
ところで、どんな時、人は“胡散臭さ”を感じるのでしょうか?
ネットで調べていたらそんなテーマの記事がいくつか出て来ました。
「なんとなく怪しい」と感じるときって、確かに共通の要素がありそうです。
私なりに整理すると、「胡散臭さ」を感じる条件には、主に二つの要素があるように思います。
その表情に嘘がある
まず、表情が信じられない時。
はりついたような笑顔が不自然。
顔は笑っているのに、目は笑っていない。
一緒に笑っていたと思ったのに、ふと見たら冷静な表情になっていた。
表に見えている表情とは別の心情が、その人の内面で動いていることが感じられると、「なんだか怪しい」となってしまいます。
これは笑顔に限らず、悲しい表情を見せている場面でも同じでしょう。
また、持ち物と内面性に不一致が見える時も胡散臭いと感じます。
身の丈に合わない高級腕時計をしていたり、とかですね。
こちらの懐に入ろうとする
作り笑顔にも通じることですが、こちらの懐にぐいぐい入ってくる姿勢を感じる時も、人は胡散臭いと感じるようです。
初対面なのに妙に馴れ馴れしいとか、リアクションが大きすぎて、こちらをのせようという魂胆が透けて見える。
話が流暢すぎて盛りが大きいのも不自然で、胡散臭い。
なぜそんなに密に迫ってくるのか、背後に何かたくらみがあるはずだ、と感じてしまうんですね。
こうしてみると、その人見た目や言葉、態度の背後に、何か見えない別のものを感じ、それが何かよからぬものでありそうな場合、人は「胡散臭い」と感じるようです。
アニメの胡散臭いキャラクターランキング
最後におまけ情報。
マンガに出てくる胡散臭いキャラクターを私なりに三人、考えて見ました。
かなり主観的なものです。
胡散臭いキャラランキング3位:シャア・アズナブル
『機動戦士ガンダム』に登場するエースパイロット。
顔をマスクで覆っていて表情がわからないところがそもそも胡散臭い。
ストーリーの展開上その正体を隠しているわけですが、一体何を考えているのか、物語の終盤になるまで意図が見えてきません。
それでいて人間的には統率力もあり、高邁な理想ものたまう。
こうした謎めいたギャップで、女性ヲタさんのハートをがっちりつかんでしまうあたりもかなり胡散臭いです。
単なる嫉妬かもしれませんが・笑
胡散臭いキャラランキング2位:峰不二子
『ルパンIII世』に登場する女泥棒。
ルパンの協力者を装いながら、だしぬいて宝物を我が物にしようと虎視眈々。
油断がならないとわかっていても、抜群の美貌とスタイルでルパンを腑抜けにしてしまいます。
わざとらしいセクシーな身振り、甘ったるく擦り寄ってくるパターンは胡散臭いことこの上なし。
この不二子が登場すると、ルパンたちが騙されるのではないか、という緊張感が物語に一層、追加されます。
男性ファンだけでなく女性も憧れる名アイコンと言えますね。
胡散臭いキャラランキング1位:ねずみ男
『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する半人間、半妖怪のキャラクター「ねずみ男」。
私的に胡散臭いキャラNo.1は、ねずみ男をおいて他にありません。
鬼太郎の友人という位置付けながら、何かというと私利私欲に走り、鬼太郎たちを裏切ります。
強欲なのも特徴で、風をみては態度を豹変させ、強いほう・利益がありそうな側につく。
身振り手振りが大きく、いやに人懐っこいのも特徴で、胡散臭い属性を数え上げればきりがありません。
ですが、ねずみ男のこうした愚かしいキャラクターをそのまま受け入れている鬼太郎たちの懐の深さが作品に奥行きを与えていて、『ゲゲゲの鬼太郎』にはなくてはならない存在になっています。
一般に「胡散臭い」はいい意味で使われることはないと思いますが、アニメやマンガなど物語の世界では物語を面白くしてくれる、なくてはならない存在のようです。
まとめ
後半、かなり脱線しましたが、ここまで「胡散臭い」の意味と「胡散」の語源・由来について書いて来ました。
胡散の語源は、
- 漢語の「胡乱(うろん)」と
- 天目茶碗の「烏盞(うさん)」
という説が有力。
しかし、はっきり確定した説はないという結論になりました。
「胡散臭い」は割と頻繁に使われているのに、由来がはっきりしないのはちょっと意外。
当初私が思っていた生薬・漢方薬説は論外のようで、胡散の匂いを実際に嗅いでみたいという望みは、残念ながら叶わないようです。
スッキリとはいかない結論になり申し訳ありませんが、今回は以上です。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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