元徴用工裁判をわかりやすく〜今後の影響とみんなの反応は?

日韓関係に衝撃をもたらす判決が10月30日、韓国の最高裁判所で出されました

太平洋戦争中に日本で強制的に労働させられたとする韓国の人たちが、その損害賠償を日本の新日鉄住金に対して起こしていて、その賠償責任が認められた、という話。

だけど国際的にはこの賠償問題はとっくに解決済みとされているため、今になってひっくり返されても困る・・・というか、戦後に気づいてきた日韓関係のおおもとにもなってるので「一大事だ!」となっているわけですね。

ここではこの徴用工裁判の判決がどんな波紋をもたらすのか、私のわかる範囲で、できるだけかみくだいて書いてみます。
それと国内のネットの反応も。

 

元徴用工裁判、原告勝訴の影響

徴用工って何?

徴用工(ちょうようこう)って、若い人はよくわからないかも知れません。

徴用とは平たくいえば国が国民を呼び出して、ある仕事に強制的に従事させることです。

戦争中、いきなり兵役にとられる「赤紙(あかがみ)」っていうのは知っていますよね。あれは「徴兵(ちょうへい)」。
よく朝ドラとかでも出てきます。赤紙がくると、どんなに夫や恋人、子どもが心配でも、お祝いして送り出さなきゃならないイメージ。泣き言を言うと非国民扱いされて辛いです。

これと似たようなもので「白紙」とよばれるものもあって、国家総動員法という法律のもとで労働者を徴用しました。この徴用は今の日本国内だけでなく朝鮮半島でも1944年からおこなわれ、半島から日本へ渡った人々がいるのです。

 

徴用工裁判、今後の影響あれこれをわかりやすく

ということで、当時の徴用工そのものには問題がありそうだと私も感じています。

ただ、今回の原告勝訴が衝撃的なのは、すでにこの賠償問題は解決が済んでいるとして、これまでの日韓関係が築かれてきたから。今になって土台を覆すような判決が出た、ということで人々の注目を集めているのですね。具体的には訴えを起こした人ひとりにつき、1億ウォン(1千万円くらい)払えということらしい。

今回の判決では新日鉄住金という会社が賠償責任を問われていたのですが、これが認められたということになると、他の日本企業にも同じような訴訟が波及する可能性が大いにあります。

戦時中、いろんな企業が戦争に協力していて、そこには多くの「徴用工」もいたはず。最高裁(韓国では大法院というそうですが)で、訴えを起こした人たちの主張が認められたということになれば、後に続こうという人たちが現れても、全然おかしくありません。

徴用工裁判、日本の反応

とはいえ、この賠償問題はすでに解決しているというのが日本の立場。というか、これまで韓国側も同じ前提でやってきたんじゃなかったの??と驚いているのも正直なところでしょう。

韓国国内には日本に対する根強い国民感情があって、最高裁もそれに配慮したのでしょうか? 韓国政府が北朝鮮と急激に関係を築いている状況も、少し影響しているのかも知れません。

ですが、事情はともかく今になってそれはないだろ、というのが日本政府の反応。

安倍さんの反応

安倍晋三首相は30日の衆院本会議で、韓国最高裁の判決で元徴用工に対する賠償を日本企業に命じる判決が確定したことに関し「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然として対応する」と述べた。*出典:安倍首相「あり得ない判断」 韓国・徴用工判決で:イザ! https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/181030/plt18103016240017-n1.html

河野外相の反応

河野太郎外相は30日、韓国大法院が元徴用工への損害賠償を新日鉄住金に命じたのを受けて談話を発表した。「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆す」と指摘。「極めて遺憾であり、断じて受け入れられない」と強調した。*出典:徴用工判決「断じて受け入れられない」 河野外相が談話  :日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37113140Q8A031C1000000/

新日鉄住金の反応

当事者である新日鉄住金の反応。

新日鉄住金は30日午後、戦時中に日本本土の工場に動員された韓国人の元徴用工4人が同社に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、韓国大法院(最高裁)が同社の上告を退けたことを受け、「1965年の請求権協定や日本政府の見解に反するもので、極めて遺憾」とし、「日本政府の対応状況などもふまえ、適切に対応する」との談話を出した。*出典:新日鉄住金「極めて遺憾」 徴用工訴訟で賠償命じる判断:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASLBZ4TBDLBZULFA014.html

韓国で資産差し押さえ?

というわけで日本側はこの判決を受け入れない姿勢を鮮明にしています。
賠償を命じられた新日鉄住金も政府と同調。なので支払いには応じないと思われれます。

ですがその場合、韓国内の資産が差し押さえられる可能性が出てくる。
新日鉄住金は韓国内に目立った資産がないそうで、韓国側としては第三国にある新日鉄住金の資産を差し押さえる可能性も出ているとか。

他方、さきほども少し触れましたが、賠償を命じられそうな日本の会社は他にもある。で、そのなかには韓国に工場などの資産がある企業もあるわけです。

一連の訴訟で訴えられている約70社には、韓国に工場を構える企業も少なくない。*出典:日本企業70社に賠償命令の可能性も 徴用工勝訴(2/2ページ) – 産経ニュース https://www.sankei.com/world/news/181030/wor1810300028-n2.html

こういう企業の場合、韓国内で企業活動することが難しくなることも考えられます。

仮に日本企業の韓国での活動が停滞、あるいは撤退などという事態になれば、当然韓国にとってもデメリットがあるので、韓国内でもこの判決に懸念を示している人も少なくないようです。

どうなる日韓関係?ネットの反応

この問題、けっこうこじれそう・・・

というのも、日本国内でもこの判決は大きな注目を集めている。
もちろんメディアも大きくとりあげています。

 

おわりに

とりあえず、どう受け止めたらいいのか自分でもよくわかっていないのですが、東アジア情勢の不透明要因がまた増えてしまった感じ。
波紋も影響も広がっていきそうな気がしますので、注意深く見守っていきたいと思います。

ご覧くださりありがとうございました。

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