カツとフライの違いって、何でしょうね?
いざ考えてみると、意外にはっきりしません。
肉を揚げたものはカツで、魚介などはフライ、と思っている人も多いかも知れません。
でもエビカツとかマグロカツ、なんてのも聞いたことがあります。
このあたり、いったいどうなってるんでしょう?
というわけで今回はこのカツとフライの違いについて、知りたがりの私・クエリが調べて&考えてみました。
私と同じくモヤモヤしている人にご覧いただけたらと思います。
カツとフライの違いは食材にあり
肉類はカツ、魚介はフライ
カツもフライも、食材のまわりにパン粉でころもをつけ、油で揚げたものを指しています。
調理法としての違いはなく、英語ではどちらも「deep fry」というそうです。
では両者の違いは何でしょう?
冒頭でもふれたとおり、日本では肉類を「カツ」、魚介類を「フライ」と呼ぶのが一般的。
トンカツやチキンカツ = 肉類
エビフライやカキフライ = 魚介類
これが基本です。
エビカツの謎〜魚介なのにカツなのはなぜ?
例外としてエビカツやマグロカツなどがあるわけですが、これを説明できる有力な説は見当たりませんでした。
私の考えですが、これはカツという言い方が食べごたえのある具材を連想させるところから来ているのではないか、と思います。
エビカツの場合はエビのミンチを使っており、これはメンチカツと似た発想ですよね。
マグロカツはマグロの切り身を使い、ヘルシーなトンカツというイメージをかもしています。
どちらも具材は魚介類ですが、食べごたえがしっかりしていて、カツというイメージに自然となじみます。それで一般にも受け入れられ、広まった呼び方ではないかと思うわけです。
カツとフライ、揺らぐ境目
いずれにしろカツとフライに調理法としての違いはないので、言ったもの勝ちという感じもあります。
ネーミングひとつでイメージがかわり、付加価値が上がったり下がったりします。
エビカツの場合、エビフライとの違いをはっきりさせたかったと思いますし、マグロカツはマグロフライでは表しきれないトンカツとの類似性・食べ応え感があります。
面白いところでは、パンにパン粉をつけて揚げた「パンカツ」なんていうものも最近は登場しているそうで、もともとの食材の区別を超えて揺れ動いているのが、カツとフライの現状のようです。
カツとフライの起源は?
カツって何?カツの意味と語源・由来
カツはカツレツの略で、そのおおもとはフランス料理のコートレット(cotelette)からきています。
コートレットを英語で言うとカットレット(cutlet)。
カトレット → カトレツ → カツレツ、みたいな流れで「カツ」に至ったと思われます。
コートレットは、仔牛の肉を薄く切ったものにパン粉をまぶし、油で焼いたもの。
揚げものというよりは、多めの油で炒めたイメージなのですが、「カツ=肉」のイメージなのは、おそらくここから来ていると考えてよさそうです。
フライって何?フライの意味と語源・由来
フライ(fry)は文字通り英語で「揚げもの」の意味。ただ、もとをたどると油を使った調理法全般を幅広くさす言葉。「揚げる」はもちろん、「炒める」、「焼く」なども含んでいるのですね。
こうしてみると、「フライ=魚介類にパン粉をつけて揚げたもの」、という日本での言い方はとても限定された使い方になっています。
カツとフライの起源と「洋食」
こうしてみてくると、カツもフライも、大元の意味からはかなり離れた状態で使われていることがわかります。
こうなった理由は、もともとの「洋食」に理由がありそう。
ここでいう「洋食」とは、日本で独自に広まった西洋料理のことです。
明治時代に西洋の料理が一般に広まり始めたころ、銀座の煉瓦亭という洋食店で「ポークカツレツ」が提供された、と言われています。これがまさに豚肉をディープ・フライで揚げたトンカツの誕生です。1899年(明治32年)のことだそうです。
同店はこのトンカツのほか、カキフライやエビフライの提供もいちはやく始めており、日本の洋食文化の先駆けとして有名。
諸説はあるようですが、「カツ」と「フライ」がここまで見て来たような日本独自の言い方で広まったのは、おそらくこのあたりに起源があるように私は思います。
ちなみに煉瓦亭は今も銀座で営業していて、手頃な価格で「洋食」を提供してくれる店として人気です。
どこか懐かしいハヤシライスや、ふわとろのオムライスなども飽きのこない味で、根強いファンがいるようです。
和食の揚げ物との区別〜天ぷら、唐揚げ、竜田揚げ
ところで、衣をつけた揚げものといえば、天ぷらや唐揚げ、竜田揚げなどもありますよね。
カツとフライのついでに、このあたりも整理しておきましょう。
カツやフライは、食材にパン粉をつけて揚げたもので、時に卵や小麦粉などを混ぜます。
これを踏まえてみていきましょう。
天ぷらとカツ・フライの意外な接点
天ぷらは食材に小麦粉、卵、水でつくったころもをつけ、揚げたものです。
具材は野菜やキノコ、魚介類がほとんど。
一般的に具材には下味をつけません。
例外といいますか、鶏肉をつかったとり天・かしわ天もあり、この場合は醤油や生姜などの下味をつける場合が多い。
面白いのはこの天ぷら、今では和食の代表格のようになっていますが、起源は室町時代につたわった南蛮料理。
語源もポルトガル語のtempero(調理の意味)だとか、スペイン語のtemplo(天上の日=魚の揚げ物を食べる日)から来ているという説があります。
カツやフライとは時代は違いますが、やはり西洋の調理法が和食化したものなんですね。
唐揚げ(から揚げ)とは?
唐揚げは、食材に小麦粉や片栗粉などをまぶして揚げたもの。
下味はついている場合もあるし、つけない場合もある。
使う粉、下味の有無から言って、かなり幅広いイメージです。
竜田揚げとは?名前の由来が風流
これに対して、竜田揚げはかなり限定されています。
醤油やみりんなどで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げます。
というのも竜田揚げは特に癖の強い食材を使う場合が多い。
しっかり下味をつけて肉や魚の臭みをなくすわけですね。
以前はクジラの竜田揚げがよく食べられていたそうです。
竜田揚げの名前の由来は諸説ありますが、紅葉の名所である竜田川(奈良県)にちなんだという説が知られています。
やや赤みがかった肉に衣の白がちりばめられた竜田揚げの様子が、川面の白波と紅葉の織りなす様子を連想させる。なかなか風流な説ですね。
おいしいトンカツを作る三つのコツ
さて、カツとフライが気になるあなたに、“おいしい”おまけ情報です。
パサパサの安い豚肉からジューシーな極上トンカツを作る三つのコツをお伝えしましょう。
興味のある方はやってみてください。
ポイント1:衣にサラダ油を加える
衣を作る際に、溶いた卵に小さじ一杯くらいのサラダ油を加えます。
こうすると肉の表面に皮膜ができるため、旨みを閉じ込めてジューシーな仕上がりになります。
皮膜を作ることがポイントなので衣は均一に、しっかりと全体につけてください。
ポイント2:冷たい油から揚げる
普通は油を加熱してから揚げますが、このレシピでは冷たいままの油のなかに、衣をつけた豚肉を入れてしまいます。
そのあとで油を加熱し、徐々に豚肉に火を通していく。
弱火から中火くらいでゆっくりと加熱することで、豚肉の中にしっかり火を通します。
衣が白っぽくても大丈夫。肉に火が通ったら、ここでいったん取り出します。
ポイント3:高温の油で二度揚げ
油を180度に加熱したのち、下揚げした豚肉を再び投入。白っぽかった衣にこんがりと焼き色がつけばできあがりです。
おわりに〜カツとフライの違いまとめ
以上、カツとフライの違いについて整理してみました。
軽くふりかえってみますと、
・カツもフライも、食材にパン粉をつけて揚げたもの。
・違いの中心は食材で、肉類だとカツ、魚介類だとフライ、という言い方をするのが普通。
・でも近年の食の多様化につれて、この基本の隙間をつくような言い方も出てきている。
・カツもフライも、起源は明治時代の日本風「洋食」にありそう。
このあたりがポイントです。
よぶんなおまけ情報もいろいろ書いてしまいましたが、もしここまでご覧くださった方がいらっしゃったらお礼いたします。ご覧くださり、どうもありがとうございました。
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