「うちの子、断るのが下手で・・・」
思いやりがあって優しいお子さんほど、友達の誘いを断れずに困っているものです。
そんなお子さんを見かねて不安になっていませんか?
この記事では、子どもの心を守りながら、相手との関係も大切にする断り方を、具体的な場面ごとにまとめました。
この記事を読むと、以下のことが分かります:
- お子さんの性格や状況に合わせた効果的な断り方
- 具体的な場面での会話例とポイント解説
- 子どもの自己主張を育てる声かけのコツ
私については、こちらをご覧ください.
子どもが断れないことに悩む保護者の方へ
なぜ私たちは子どもの「断れなさ」を心配するのか
学校から帰宅した息子が、疲れ切った表情を見せていました。理由を尋ねると、友達からの遊びの誘いを無理に受け入れていたことがわかりました。その姿に胸が痛むと同時に、「もしかして私も子どもの頃、同じように悩んでいたのでは?」という思いが頭をよぎりました。
子どもの「断れない」姿に心配を感じる私たち。その背景には、実は私たち自身の経験が深く関わっているかもしれません。断ることができず、後悔した経験。相手に嫌われることを恐れて、自分の気持ちを押し殺してきた記憶。そんな自分の過去が、子どもの姿と重なって見えることがあります。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。子どもの「断れない」という姿は、実は豊かな感受性の表れかもしれません。相手の気持ちを察する力、関係を大切にする心、これらは決して否定的なものではありません。
大人の心配が子どもに与える影響
時として私たちの過度な心配は、子どもをより繊細にしてしまうことがあります。「どうして断れないの?」「もっとはっきり言えばいいのに」という声かけは、かえって子どもを萎縮させてしまう可能性があります。
子どもの成長には、時には失敗や後悔の経験も必要です。完璧な断り方を求めるのではなく、試行錯誤の過程を温かく見守ることが大切なのです。
見守るべき場面と介入すべき場面
ただし、すべての場面で見守るばかりが正解というわけではありません。以下のような状況では、適切な介入が必要かもしれません:
- 子どもが著しく疲れている様子が続く
- 学業や生活リズムに支障が出始めている
- 友達との関係に明らかな不均衡がある
- 子どもが助けを求めているサインがある
このような場合は、まず自分の不安は横において、子どもの話をきちんと聞くことから始めましょう。「こういう時は断っても大丈夫だよ」という安心感を与え、具体的な断り方を一緒に考えていくのです。次のセクションで、具体的なケースに沿って、断り方のアドバイスを考えていきましょう。
小学生の断り方:3つの典型的なケース
しつこい友達への断り方|小学生の場合
美咲ちゃん(小学3年生)は、クラスで人気者のおしゃべり上手な女の子です。でも最近、同じクラスの友達から毎日のように遊びに誘われて困っています。その子は断られても何度も誘ってきて、美咲ちゃんは疲れ果ててしまいました。お母さんは、美咲ちゃんが無理して付き合っている様子を心配しています。
断る時は、相手の気持ちを考えながらも、はっきりと自分の意思を伝えることが大切です。以下の例文を参考に、お子さんに合った言い方を見つけてあげましょう。
「ごめんね。今日は家族と過ごす時間って決めてるんだ。
また今度遊ぼうね」
「うーん、今日は疲れちゃって、ゆっくりしたいんだ。
また元気な時に遊ぼう!」
「実は毎日は遊べないんだ。
週に1回くらいなら楽しく遊べると思うよ」
一緒に登校したくないときの断り方|小学生向け
健太くん(小学4年生)は、近所に住む同級生と毎朝一緒に登校していました。でも最近、その子が遅刻しそうになっても寄り道をしたがるので困っています。健太くんは時間を守る子なので、毎朝ヒヤヒヤしながら付き合うのが辛くなってきました。
時間や約束を大切にする気持ちは素晴らしいものです。以下のような言い方で、自分の考えを伝えてみましょう。
「ごめんね。僕、始業時間の15分前には学校に着きたいから、
先に行くよ」
「遅刻したくないから、今日は一人で行くね。
また帰りに会おう!」
「朝は準備があるから、これからは一人で行こうと思うんだ。
放課後は一緒に帰れたらいいね」
遊びたくない友達への断り方|小学生の対応法
翔太くん(小学5年生)は運動が大好きで、休み時間はいつもドッジボールをして遊んでいます。でも最近、別のクラスの子が毎日スマホゲームで遊ぼうと誘ってきます。翔太くんは外で体を動かして遊びたいのですが、どう断ればいいか分からず悩んでいます。
遊び方の好みは人それぞれです。相手を否定せずに、自分の好みを伝える方法を見つけましょう。
「スマホゲームも楽しそうだけど、僕は外で遊びたいな。
ドッジボール、一緒にやらない?」
「今日は外で思いっきり走り回りたいんだ。
また今度ゲームのこと教えてね!」
「放課後は運動する時間って決めてるんだ。
休み時間なら少しならできるよ」
小学生のための断り方|場面別テクニック集
一緒に帰りたくない時の断り方|小学生の例文
由美ちゃん(小学4年生)は習い事の日、クラスメイトの真由美ちゃんに「一緒に帰ろう」と誘われます。でも真由美ちゃんは寄り道が大好きで、毎回習い事に遅刻しそうになってしまいます。由美ちゃんはピアノが大好きなので、落ち着いて練習したい気持ちでいっぱいです。
習い事を大切にする気持ちを伝えながら、相手のことも考えた断り方を紹介します。
「ありがとう。でも今日はピアノ教室に直接行きたいから、
また明日一緒に帰ろうね」
「今日は習い事があるから、寄り道できないんだ。
また違う日に一緒に帰ろう!」
「ごめんね、習い事に遅れると先生に迷惑をかけちゃうから、
今日は一人で行くよ」
遊び誘いの断り方|小学生向けフレーズ
太一くん(小学3年生)は週末、大好きな祖父母が遊びに来る予定です。でも友達のケンくんは「日曜日に新しいゲームで遊ぼう」と誘ってきました。太一くんは祖父母との時間を大切にしたいのですが、ケンくんを傷つけたくないと悩んでいます。
家族との大切な約束がある時は、その予定を優先することを自然に伝えましょう。
「おじいちゃんとおばあちゃんが来るから、今度にしようよ。
また来週誘ってね!」
「日曜日は家族で過ごす日なんだ。
また違う日に遊ぼう!」
「その日は家族と約束があるんだ。
代わりに土曜日はどう?」
登校時の断り方|一緒に行きたくない場合
真一くん(小学5年生)は朝の準備がとても早い子です。でも同じマンションの友達は いつも準備に時間がかかり、待っていると遅刻しそうになってしまいます。真一くんは時間を気にしながら待つのがストレスになっています。
時間の使い方の違いを理解しながら、自分のペースを守る方法を見つけましょう。
「僕、朝は早めに学校に着きたいから、
先に行ってるね」
「待ち合わせの時間に来られないなら、
それぞれのペースで行った方がいいと思うんだ」
「朝の準備に時間がかかるのは分かるよ。
でも僕は早く行きたいから、一人で行くね」
オンラインゲームの誘いを断る|現代の子どもの課題
小学5年生の拓也くんは、クラスの友達からオンラインゲームに誘われることが増えてきました。家族との約束で、平日のゲームは1時間までと決めているのですが、友達は「もうちょっとだけ」と言って、なかなか終われません。断ると「つまんないやつ」と言われそうで、困っています。
現代の子どもたちにとって、ゲームは重要なコミュニケーションツールの一つとなっています。しかし、家庭のルールや生活リズムを守りながら、友達関係も大切にしたいという悩みも生まれています。以下のような断り方を、状況に応じて活用してみましょう。
「今日は1時間って決めてるんだ。
時間になったら必ず切るから、その範囲で遊ぼう!」
「ごめん、これ以上やるとお父さんとの約束破っちゃうんだ。
また明日の放課後、1時間だけ一緒にやろう」
「実は生活リズムを整えたいから、夜はゲームしないことにしたんだ。
休み時間に別の遊びをしない?」
SNSでの遊びの誘いへの対応|小学生の場合
6年生の美咲ちゃんは、クラスのグループLINEに入っています。夜になると「今からオンラインでみんなで遊ぼう!」という誘いが来ますが、次の日の学校のことを考えると心配です。でも、断ると仲間外れになりそうで怖いと感じています。
SNSでのコミュニケーションは、対面での会話と違って察しづらい部分も多く、子どもたちにとって難しい場面が増えています。以下のような対応を心がけましょう。
「明日早起きだから、今日は参加できないよ。
でも明日の休み時間に会えるの楽しみ!」
「夜はスマホを使わない約束なんだ。
その代わり、休日の昼間に誘ってくれたら嬉しいな」
「今勉強中だから、終わったら少しだけなら参加できるかも。
でも30分くらいで抜けるね」
特にオンラインでのコミュニケーションでは、その場の空気が読みづらく、断ることへの不安が大きくなりがちです。しかし、自分の生活リズムや健康を守ることの大切さを、子どもたち自身が理解し、実践していけるよう支援することが重要です。
友達との交流としてのゲームやSNSを完全に否定するのではなく、適度な距離感を保ちながら付き合っていける関係づくりを、少しずつ学んでいけるといいですね。
小学生に教えたい断り方の基本
4C分析:子どもの気持ちに寄り添う断り方
子どもが断れない理由には、いくつかの心理的な要因が隠れています。4つのポイントから考えてみましょう。
Context(状況):子どもにとって「友達との関係」は、とても大きな意味を持ちます。断ることで関係が悪くなるのではないかという不安が生じやすいのです。
Consequence(結果):断った後にどうなるのか、想像がつかないことも多いものです。特に小学生は、過去の経験が少ないため、不安を感じやすくなります。
Culture(文化):日本の学校文化では「和を大切にする」ことが重視されます。そのため、自分の意見を主張することに躊躇する子どもも多いのです。
Capacity(能力):コミュニケーションスキルは、経験を通じて徐々に身についていくものです。大人が適切にサポートすることで、子どもは自然に力を身につけていきます。
DREAMメソッド:小学生向け実践テクニック
子どもの年齢や性格に合わせて、以下の5つのポイントを意識した声かけをしてみましょう。
Direct(はっきりと):曖昧な言い方は相手を混乱させます。「たぶん」「できれば」などの言葉は避けましょう。
Respect(尊重):相手を大切に思う気持ちを言葉で表現します。「誘ってくれてありがとう」という感謝の言葉から始めるのも良いでしょう。
Explain(説明):理由を簡潔に伝えます。長い説明は却って誤解を招くことがあります。
Alternative(代替案):可能であれば、別の提案をしてみましょう。「また今度」と言うだけでなく、具体的な日時を提案できるとベストです。
Maintain(関係維持):断った後も友達関係を保てるよう、温かい言葉で締めくくりましょう。
ここで用いた4C分析とDREAMメソッドについては、次のリンク先の記事で詳しく紹介しています。
お子さんをおもちのあなた自身、断るのが苦手だったり、いつも不本意ながら頼まれごとを引き受けてしまい、損をしている気がする、、、という方には、ぜひご覧いただけたらと思います.
→断り方が人生を変える
小学生が避けるべき断り方|NGパターン解説
しつこい友達への悪い断り方|会話例
子どもの率直な感情は大切ですが、感情的な言葉は友達関係を壊してしまう可能性があります。イライラした気持ちをそのままぶつけたり、相手を否定するような言葉は避けましょう。例えば「もうしつこい!何回言ったらわかるの!」「あなたとは遊びたくないの」「うるさいな、どうせ遊べないって分かってるでしょ」といった言い方です。このような言葉は、その場の感情を伝えることはできても、相手の心を深く傷つけてしまいます。
遊び誘いでの失敗例|対処法と改善点
嘘をつくことは、一時的には楽な解決方法に見えるかもしれません。「今日は頭が痛い」と言って断ったり、「お母さんが遊んじゃダメって」と親の言葉を借りたり、実際にはない「習い事」を理由にすることもあるでしょう。しかし、嘘はいつか必ずばれるものです。嘘がばれた時の信頼関係の崩壊は、取り返しがつかない事態を招きかねません。正直に自分の気持ちを伝える勇気を持つことが大切です。
一緒の登下校での不適切な断り方|改善例
相手の悪い点を指摘するような断り方も避けるべきです。「あなたと一緒だと、いつも遅刻しそうになるから」「いつも準備が遅いから待つのがめんどくさい」「他の子と一緒の方が楽しいから」といった言葉は、相手の自尊心を深く傷つけます。人は誰でも、自分の短所を指摘されることに強い不快感を覚えるものです。代わりに、自分の状況や希望を前向きな言葉で伝える方法を見つけていきましょう。
小学生の断り方Q&A|よくある悩み相談
断ると仲間はずれになるのでは?
これは多くの保護者が心配される問題です。確かに、相手によっては断ることで一時的に関係がぎくしゃくすることもあるでしょう。しかし、ていねいに理由を説明し、代替案を提示することで、むしろ関係が深まることも多いのです。
ただし、相手が執拗に誘いを続けたり、断ったことで嫌がらせをされたりする場合は、単なる断り方の問題ではありません。そのような場合は、必ず担任の先生や保護者に相談するよう指導してください。子どもの安全や心の健康が最優先です。
しつこい遊び誘いへの対処法
毎回同じように誘ってくる友達には、なぜそれほど誘ってくるのか、その子の気持ちを考えてみることも大切です。寂しさや不安が背景にあるかもしれません。ただし、それは必ずしも受け入れなければならない理由にはなりません。自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちにも配慮する。その難しいバランスを、子どもと一緒に考えていきましょう。
仲の良い友達を断って大丈夫?
親しい友達だからこそ、正直に自分の気持ちを伝えられる関係を築きたいものです。特に仲の良い友達には、自分の状況や気持ちをより詳しく説明することで、理解を得やすくなります。むしろ、親しい関係だからといって無理を重ねることで、後々大きな問題になることもあります。
断られた側の気持ちへの配慮は?
自分が断る時は、「断られる側の気持ち」も想像できるといいですね。それは、断られた時に自分がどう感じるかを考えることから始まります。断る時は、相手の誘いを否定するのではなく、自分の状況を説明することに重点を置きましょう。また、可能であれば具体的な代替案を提示することで、関係を維持する努力を示すことができます。
これらの対応は、状況や相手によって柔軟に変える必要があります。大切なのは、子どもの様子をよく観察し、必要に応じて適切なサポートを提供することです。時には専門家や学校の先生に相談することも、有効な選択肢の一つとなります。
まとめ:小学生の断り方上達のポイント
子どもの「断る」という行為は、単なる拒否ではありません。それは、自分の気持ちを大切にしながら、相手との関係も守るという、とても重要な学びの機会なのです。
私も子育ての中で、子どもの気持ちに寄り添いながら、どうやって「断る勇気」を育んでいくか、日々試行錯誤を重ねてきました。完璧な断り方など存在しないかもしれません。でも、子どもたちが少しずつ自分の気持ちを大切にできるようになり、同時に相手への思いやりも忘れない―そんなコミュニケーション力を育んでいけることを願っています。
この記事が、お子さんの成長を支える一助となれば幸いです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました.なお本文中に登場する人物たちは、状況を思い浮かべやすいように作成した架空のキャラクターです.皆さんの状況に近いケースを選んで参考にしてくだされば幸いです.
ところでこれは私見ですが、「断り方」は小さな自己主張の第一歩だと思っています.断ることが苦手だという方はぜひこちらの記事もご覧いただければと思います.
「こんな断り方をしたらうまくいった」
「こんな断り方はまずかったと反省している」
という体験を、もしあなたがお持ちでしたら、ぜひコメント欄で共有してください.
同じお悩みを抱えたみなさんの助けになると思いますので、ぜひよろしくお願いします!
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