「取材依頼、断るべき?でも断り方がわからない…」
メディアからの突然の取材依頼に戸惑った経験はありませんか?
取材を断ることで、企業イメージが損なわれないか不安になるのは当然のことです。
この記事では、広報担当者、店舗経営者、企業経営者など、様々な立場の方に向けて、取材を適切に断るための具体的な方法と例文をご紹介します。
この記事を読むと、以下のことがわかります:
- 取材を断っても問題ない場合と、その理由
- 立場や状況に応じた、具体的な断り方の例文
- メディアとの良好な関係を保ちながら断る方法
私については、こちらをご覧ください。

メディアからの取材依頼、なぜ断る必要があるのか
取材依頼を受けることは、多くの場合ビジネスチャンスとなりえます。しかし、時として断らなければならない状況に直面することがあります。
メディアからの取材を断る理由は、企業や組織の状況によって様々です。技術やノウハウの流出を防ぐため、現場の混乱を避けるため、あるいは時期尚早だからかもしれません。
マスコミ取材を断るべき3つの状況
まず、取材を断る判断が適切なケースを明確にしておきましょう。
以下のような状況では、取材をお断りすることが賢明な選択となります。
第一に、企業秘密や特許出願中の技術に関わる場合です。競合他社に情報が流出するリスクを避けるため、取材をお断りすることは当然の判断といえます。
第二に、現場の対応能力を超える場合です。特に小規模店舗では、急激な来客増加により、既存顧客へのサービス品質が低下する可能性があります。
第三に、社内体制が整っていない場合です。広報担当者が不在であったり、重要な意思決定者が不在の際には、取材を一時的にお断りすることが賢明です。
取材を断っても企業イメージは損なわれない
多くの方が懸念されるのが、取材を断ることで企業イメージが悪化するのではないか、という点です。しかし、適切な方法で断れば、むしろ信頼関係を深めることができます。
重要なのは「断り方」です。丁寧な対応と明確な理由説明があれば、むしろ「しっかりとした判断基準を持つ組織」という印象を与えることができます。
広報担当者が知っておくべき取材対応の基礎知識
取材対応において、広報担当者には高度なコミュニケーションスキルが求められます。特に、断る際には以下の点に注意が必要です。
まず、相手の立場への理解を示すことです。取材する側にも締切やノルマがあることを理解した上で、誠意ある対応を心がけましょう。
次に、代替案の提示です。現時点での取材は難しくても、将来的な可能性を示唆したり、別の切り口を提案したりすることで、良好な関係を維持できます。
このあたりの配慮のポイントは、後の4C分析やDREAMメソッドでも詳しく解説します。
取材の断り方の実践的な例文と状況別ガイド
それでは実際の場面に即して、具体的な取材の断り方をご紹介していきます。立場や状況によって最適な対応は異なりますので、それぞれのケースに分けて解説します。
新任広報担当者向け取材の断り方
入社2年目の堀口さんは、先月から広報部に異動になりました。上司が海外出張中の今週、突如として新規サービスがSNSで話題になり、様々なメディアから取材依頼が殺到。経験も少なく不安な中、適切な対応を迫られています。会社の評判を損なわないよう、丁寧な断り方を心がけたいと考えています。
初めて取材対応を任された広報担当者の方向けに、状況別の例文をご紹介します。
電話での初期対応の例
申し訳ございません。ただいま担当上司が海外出張中でして、
重要な案件については上司の確認が必要となっております。
取材のお話、大変ありがたく思っておりますが、
ご期待に添えず申し訳ございません。
上司の帰国後、改めてご相談させていただくことは可能でしょうか。
誠に恐れ入りますが、現時点では取材のお受けすることが難しい状況です。
ご提案の内容は大変魅力的で光栄なのですが、
社内での検討にお時間をいただければと存じます。
メールでの返信例
件名:取材依頼に関するご返信
○○様
平素より大変お世話になっております。
△△株式会社広報部の堀口でございます。
この度は弊社サービスにご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
恐縮ではございますが、現在担当責任者が海外出張中につき、
今週中のご取材につきましてはお受けすることができない状況でございます。
来週以降であれば、改めて検討させていただくことが可能です。
もしお時間が許されるようでしたら、
来週月曜日以降に改めてご相談させていただけますと幸いです。
突然のお断りとなり、大変申し訳ございません。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
株式会社△△
広報部
堀口美帆
店舗経営者の取材の断り方
老舗和菓子店の三代目である榊原さん。季節限定の新商品がSNSで話題となり、複数の情報番組から取材依頼が来ています。しかし、職人による手作業が基本の商品は大量生産が難しく、現状でも生産が追いつかない状況。さらに、代々受け継いできた製法も取材で公開したくないと考えています。
小規模店舗経営者向けの断り方例文です。
取材のお話、大変光栄に存じます。
しかしながら、現在は製造が追いつかない状況でして、
これ以上の反響をいただきますと、
お客様にご迷惑をおかけすることになってしまいます。
誠に申し訳ございませんが、製法についての撮影は控えさせていただいております。
職人技術の詳細につきましては、
代々の伝統として非公開とさせていただいております。
この度は誠に恐縮ではございますが、
現状では取材をお受けすることが難しい状況です。
生産体制が整いましたら、
改めてご相談させていただければと存じます。
企業経営者の取材の断り方
地方都市の中堅製造業を率いる宮原社長は、新開発の環境技術が業界で注目を集め、複数の経済メディアから取材依頼を受けています。しかし特許出願中の技術であり、詳細な情報公開は競合他社への情報流出リスクがあります。一方で、将来的な広報展開も視野に入れながら、メディアとの関係性は大切にしたいと考えています。
特許出願中の案件への対応例
この度は弊社の環境技術についてご関心をお寄せいただき、
誠にありがとうございます。
現在、当該技術は特許出願手続き中でございまして、
詳細な情報開示が難しい状況にございます。
特許取得の手続きが完了し次第、
改めて詳しい情報をご提供させていただければと存じます。
その際には、ぜひ貴社に真っ先にご連絡させていただきたく存じます。
場面別:取材の断り方の実践的な例文集
電話での取材の断り方テンプレート
突然の電話取材への対応例
お電話ありがとうございます。
申し訳ございませんが、突然のお電話での取材は社内規定によりお受けできかねます。
差し支えなければ、取材の趣旨を書面にてお送りいただけますでしょうか。
内容を確認の上、改めてご連絡させていただきたく存じます。
恐れ入りますが、本日のところは電話でのコメントは控えさせていただきます。
詳細な内容をメールにてお送りいただけますと幸いです。
メールでの取材の断り方の文例
大規模なメディア取材への対応:
件名:取材依頼につきまして
○○新聞社
△△様
平素より大変お世話になっております。
この度は弊社へ取材のお申し込みをいただき、
誠にありがとうございます。
貴重な機会をいただき、大変光栄に存じます。
慎重に検討させていただきましたが、
現時点では取材をお受けすることが難しい状況でございます。
誠に申し訳ございませんが、
今回はお断りさせていただきたく存じます。
なお、来年度の新製品発表時期には、
ぜひ改めて取材のご相談をさせていただければ幸いです。
突然のお断りとなり、重ねてお詫び申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
株式会社○○
広報部
効果的な取材の断り方の方法論
取材依頼を断るかどうかの判断と、実際の断り方。この2つのステップを効果的に進めるための方法論をご紹介します。
4C分析で考える取材断り方
取材を断る判断をする際には、4つの観点から状況を分析することで、より適切な判断が可能になります。これを4C分析と呼びます。
まず「Context(状況)」では、取材依頼の背景を理解します。どのような媒体からの取材で、どのような意図があるのか。放送予定日や取材時間、撮影範囲など、具体的な状況を把握します。
次に「Consequence(結果)」として、取材を受けた場合の影響を検討します。放送後の来客増への対応や、技術・ノウハウの流出リスク、常連客への影響、競合他社の反応など、想定される結果を広く考えます。
「Culture(文化)」の観点では、取材が組織の文化や価値観と整合するかを確認します。例えば職人の手仕事を重視する会社であれば、その技術を映像で公開することへの是非を検討する必要があるでしょう。
最後に「Capacity(能力)」として、取材に対応する現実的な能力があるかを評価します。人員の確保、通常業務への影響、品質管理の維持など、実務的な観点から実現可能性を判断します。
例えば、ある和菓子店への取材依頼を検討する場合を見てみましょう。情報番組からの取材依頼を受けた際、4C分析を行うと次のような考察ができます。
放送時間帯や視聴者層を確認すると(Context)、反響が大きいと予測されます。現状でも生産が追いつかない状況で(Capacity)、放送後の需要増加に対応できるかが懸念されます(Consequence)。また、代々受け継いできた製法の詳細な撮影は、職人の技を守るという店の方針に反する可能性があります(Culture)。
このような分析により、「現時点では取材をお断りすることが適切」という判断に至ったとしましょう。次は、その伝え方です。
DREAMメソッドで実践する断り方
DREAMメソッドは、断りの伝え方を5つの要素に分解して、より効果的なコミュニケーションを実現する方法です。
Direct(直接性):曖昧さを排除し、明確に意思を伝える
申し訳ございませんが、今回の取材はお断りさせていただきます。
Respect(尊重):相手への敬意と感謝を示す
貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。
番組の趣旨についても大変興味深く拝見いたしました。
Explain(説明):簡潔かつ合理的な理由説明
現在、当店は職人による手作業を基本としており、
放送後の需要増に対応できる生産体制が整っておりません。
Alternative(代替案):建設的な提案を行う
来年の春の新商品発表時期であれば、
十分な準備を整えた上でご取材をお受けできるかと存じます。
Maintain(関係維持):将来に向けた関係性の維持
その際には、ぜひ貴社に真っ先にご連絡させていただければと存じます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
これら5つの要素を組み合わせることで、以下のような効果的な断りの文面が完成します。
拝啓
貴重な取材のお話をいただき、誠にありがとうございます。
番組の趣旨につきましても、大変興味深く拝見いたしました。
慎重に検討させていただきました結果、誠に申し訳ございませんが、
現時点では取材をお断りさせていただきたく存じます。
当店は職人による手作業を基本としており、
放送後の需要増に十分な対応ができない可能性が高いと判断いたしました。
しかしながら、来年の春の新商品発表時期であれば、
十分な準備を整えた上でご取材をお受けできるかと存じます。
その際には、ぜひ貴社に真っ先にご連絡させていただければと存じます。
何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
このように、4C分析とDREAMメソッドを組み合わせることで、判断から実践まで、より効果的な取材断りが可能となります。
ここで用いた4C分析とDREAMメソッドについては、次のリンク先の記事で詳しく紹介しています。
断るのが苦手だったり、いつも不本意ながら頼まれごとを引き受けてしまい、損をしている気がする、、、という方にぜひご覧いただけたらと思います。
→断り方が人生を変える
取材の断り方のNG例と対処法
即断即決の危険性
取材依頼を受けた瞬間に「できません」と即答してしまうのは、一般に避けるべき対応です。たとえ断る場合でも、一度持ち帰って検討する姿勢を示すことが重要です。
曖昧な返答がもたらすリスク
「検討します」「わかりません」といった曖昧な返答は、メディア側に誤った期待を持たせる可能性があります。明確な意思表示をすることが、双方にとって有益です。
感情的な断り方の問題点
どんなに突然の取材依頼でも、感情的な対応は避けるべきです。冷静さを保ち、丁寧な対応を心がけましょう。
過剰な説明による情報流出
断る理由を詳しく説明しすぎることで、不必要な情報を開示してしまうリスクがあります。説明は簡潔に留めることが賢明です。
取材断り方に関するよくある質問
取材を断ると報道されるリスクは?
適切な方法で断れば、そのリスクは極めて低いと考えられます。むしろ、丁寧な対応により、メディアとの良好な関係を築くチャンスとなります。
取材断り方のベストタイミングは?
基本的には、依頼を受けてから24時間以内の対応が望ましいでしょう。ただし即答は避け、社内での適切な検討時間は確保しましょう。
取材の可能性を残す断り方とは?
現時点での断りと将来の可能性を明確に区別し、次回の機会について具体的に言及することで、前向きな印象を残すことができます。
突然の取材要請、その場での断り方は?
基本的には「本日は対応できかねます」と伝え、改めて正式な依頼をしていただくようお願いすることが望ましいでしょう。
まとめ:適切な取材断り方で、win-winの関係を築く
取材依頼を断ることは、決してネガティブな判断ではありません。むしろ、組織の利益を守り、より良い情報発信の機会を待つための戦略的な判断といえます。
重要なのは断り方です。丁寧な対応と明確な理由説明、そして将来への期待を込めた対応により、メディアとの関係性はむしろ深まることでしょう。
この記事で紹介した方法を参考に、自身の状況に合わせた最適な対応を見つけていただければ幸いです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました.なお本文中に登場する人物たちは、状況を思い浮かべやすいように作成した架空のキャラクターです.皆さんの状況に近いケースを選んで参考にしてくだされば幸いです.
ところでこれは私見ですが、「断り方」は小さな自己主張の第一歩だと思っています.断ることが苦手だという方はぜひこちらの記事もご覧いただければと思います.

「こんな断り方をしたらうまくいった」
「こんな断り方はまずかったと反省している」
という体験を、もしあなたがお持ちでしたら、ぜひコメント欄で共有してください.
同じお悩みを抱えたみなさんの助けになると思いますので、ぜひよろしくお願いします!
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