水野南北:江戸時代の観相家の現代に通じる教え

水野南北という名前をネットで知り、もっと詳しく知りたいと思われた方も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。

江戸時代の観相家として有名な水野南北の波乱万丈な人生と、彼が提唱した「節食開運説」について、現在わかっている情報をまとめてみました。さらに、その教えを現代的に解釈し、実践するためのチャレンジも考えてみました。

 

水野南北とは?江戸時代最高の観相家の波乱万丈の人生

水野南北は宝暦10年(1760年)頃、大阪の阿波座(現在の大阪市西区)で生まれたとされています。幼くして両親を亡くし、孤児となった南北は、寂しさから心が荒れ、なんと10歳の頃から飲酒を始め、喧嘩ばかり起こす問題児だったそうです。

18歳の時には、酒代欲しさに悪事を働いて牢獄に入れられてしまいます。しかし、この牢獄での経験が南北の人生を大きく変えることになります。牢内で、普通の人間と罪人の人相の違いに興味を持った南北は、釈放後に大阪の有名な人相見を訪ねます。

そこで南北は、「あと1年の命しかない」という衝撃的な宣告を受けます。この予言を覆すため、南北は僧侶のアドバイスに従い、1年間麦と大豆だけの食事を続けます。この経験が後の「節食開運説」につながっていくのです。

驚くべきことに、1年後、南北の相は劇的に変化し、人相見を驚かせました。南北はこの経験から、食事が人相や運命に大きな影響を与えることを確信したのです。

水野南北の観相学修行法と異色の経歴

21歳で本格的に観相学の修行を始めた南北ですが、その修行方法は非常にユニークでした。南北は、人々の相を様々な角度から観察するため、以下のような異色の経歴を積んでいきます:

1. 最初の3年間:床屋の見習いとなり、客の人相を観察

  • 様々な年齢や職業の人々の顔を間近で観察し、表情や皮膚の状態などを詳しく学びました。

2. 次の3年間:風呂屋の三助として全身の相を学ぶ

  • 全身の相を観察することで、体型や姿勢、皮膚の状態など、顔以外の部分から読み取れる情報を研究しました。

3. 最後の3年間:火葬場のオンボ(火葬係)として、死人の骨格と運命の関係を研究

  • 人生の最後の姿である骨から、その人の生涯や運命を読み解く技術を磨きました。

これらの経験を通じて、南北は人間の外見と内面、そして運命の関係について深い洞察を得ていったのです。

さらに深山幽谷に籠もって修行を続けた南北は、やがて観相家として独立し、その的中率の高さから「日本一の観相家」と呼ばれるようになりました。南北の観相は単なる外見の判断ではなく、人間の本質を見抜く深い洞察力に基づいていたと言えるでしょう。

水野南北の「節食開運説」とは?現代にも通じる健康法

50歳の頃、伊勢神宮で断食と水行を行った南北は、「人の運は食にあり」という啓示を受けます。これをきっかけに、南北は観相を辞め、「節食開運説」を広めることに力を注ぎました。

南北の主張する「節食開運説」の要点は以下の通りです:

1. 食事の量を減らすことで運気が上がる

  • 南北は、小食の人は人相が不吉でも恵まれた人生を送り、早死にしないと説きました。

2. 大食や美食は運気を下げる

  • 常に適量を超える食事や身分不相応の美食は、たとえ人相が良くても運勢を悪化させると警告しています。

3. 粗食は財産形成や長寿につながる

  • 自分の生活水準より低い程度の粗食を続けることで、財産を築き、長寿を得られると説いています。

4. 感謝の心を持って食事をすることが大切

  • 南北は、食事の際に神仏に感謝の念を捧げることの重要性も強調しました。

南北は、これらの実践により「小さい願い事なら1年で、普通の願い事なら3年で、そして大望なら10年で叶う」と説いています。この考え方は、単なる迷信ではなく、節制の習慣が人生にポジティブな影響を与えるという、現代の健康観にも通じる洞察を含んでいると言えるでしょう。

観相学と現代科学:批判的に考える

ここで一旦立ち止まって考えてみましょう。「いやいや、そうは言っても、観相学なんてにわかには信じられないよ」という声が聞こえてきそうです。

確かに、現代の科学的視点から見れば、人相で運勢を判断するという考え方には懐疑的にならざるを得ません。遺伝や環境要因、さらには整形手術の発達など、顔の形は必ずしも人格や運命を反映するものではないという反論も成り立ちます。

しかし、観相学を単なる迷信として片付けてしまうのは早計かもしれません。なぜなら:

1. 心身相関:
現代の心理学でも、心の状態が表情や姿勢に影響を与えることが知られています。長年の習慣や心の持ち方が、少なからず外見に現れる可能性は否定できません。

2. プラセボ効果:
自分の相が良くなったと信じることで、実際に前向きな行動が促進され、結果として運気が上がるという効果も考えられます。

3 生活習慣の指標:
南北の言う「相」を、その人の生活習慣の現れと解釈すれば、健康状態や生活の質を推し量る一つの指標として見ることもできるでしょう。

4. 哲学的視点:
運命や相といった概念を、人生を省みる機会として捉えれば、自己啓発のツールとして有効に機能する可能性があります。

つまり、観相学の全てを鵜呑みにする必要はありませんが、その中に含まれる知恵や洞察を、現代的な文脈で再解釈し、活用することは十分に可能なのです。

南北の「節食開運説」も同様です。単に食事量を減らせば運が良くなるという単純な因果関係ではなく、食生活を見直すことで健康が改善し、それが人生の質の向上につながるという、より現実的な解釈ができるでしょう。

現代人にも役立つ?水野南北の教えと断食の効果

最近では、ファスティング(断食)が健康法として注目を集めています。これは、水野南北の「節食開運説」と通じるものがあるかもしれません。

私自身も夜間の飲食を控えるようにしており、時には空腹を感じることもあります。しかし、意外とこの空腹感が心地よく感じられるんです。食べたい気持ちをグッと我慢して早寝してしまうと、眠りが深くなり、翌朝の目覚めも爽やかで、日中の集中力も上がるという実感があります。

この心地よさを一度経験すると、次に空腹に襲われても比較的我慢できるという、良い循環ができるんですよね。これは、南北が説いた「節食」の効果と似ているのではないでしょうか。

現代の科学的研究でも、適度な断食や食事制限が健康に良い影響を与える可能性が示唆されています。例えば、断続的断食(インターミッテント・ファスティング)は、体重管理や代謝改善、さらには寿命延長にも効果があるという研究結果もあります。

このように、水野南北の「節食開運説」は、現代の私たちにも通じる健康法として再評価できる可能性があるのです。

水野南北の著作と現代への影響

水野南北の教えは、彼の著作を通じて現代まで伝わっています。主な著書には以下のようなものがあります:

– 『南北相法』(1788年)

  • 南北の観相学の基本的な理論と技法をまとめた書物です。

– 『南北相法極意抜粋』(1812年)

  • 観相学の奥義や秘伝を記した、より高度な内容の書籍です。

– 『相法脩身録』(1813年)

  • 南北の晩年の思想が詰まった書物で、「節食開運説」について詳しく解説しています。

これらの著作は、現代でも観相学を学ぶ人々に読み継がれています。特に『相法脩身録』は、南北の人生哲学が凝縮された書物として、多くの人々に影響を与えています。

また、南北の「節食開運説」は、現代の健康志向や断食ブームにも通じる部分があり、その思想は時代を超えて影響を与え続けているといえるでしょう。例えば、「腹八分目」という日本の伝統的な食事の考え方は、南北の教えと重なる部分があります。

水野南北の死因:長寿を全うした観相家の最期

水野南北は天保5年(1834年)に74歳で亡くなりました。当時の平均寿命が30歳前後だったことを考えると、南北はかなりの長寿を全うしたと言えるでしょう。

残念ながら、南北の具体的な死因については、現存する資料からは明確にわかっていません。しかし、彼自身が提唱した「節食開運説」を実践し、質素な生活を送っていたことが、彼の長寿につながったのではないかと推測されています。

南北は晩年まで精力的に著作活動を行っており、死の直前まで清明な精神を保っていたとされています。彼の最期は、自身の教えを体現するかのような、穏やかなものだったのではないでしょうか。

南北の死後も、彼の教えは弟子たちによって受け継がれ、現代にまで伝わっています。彼の生涯そのものが、「節食開運説」の有効性を証明しているとも言えるかもしれません。

水野南北の教えを実践!7日間チャレンジ

水野南北の「節食開運説」に興味を持たれた方、実際に試してみませんか?ここでは、現代生活に合わせた7日間のチャレンジをご提案します。

1. 食事量の調整:
毎食、普段より2割ほど少なめに盛り付けてみましょう。

2. 感謝の心を持つ:
食事の前に、食べ物や調理してくれた人への感謝の気持ちを言葉に出して表現します。

3. 夜9時以降の飲食を控える:
夜遅い食事を避け、胃腸を休ませましょう。

4. 一日一食は粗食に:
昼食か夕食のどちらかで、シンプルな和食(例:玄米、味噌汁、野菜)を選びます。

5. 食事中はスマホを見ない:
食事に集中し、味わって食べることを心がけます。

6. 噛む回数を増やす:
一口30回以上噛むよう意識してみましょう。

7. 食後の短い散歩:
できれば食後15分程度、ゆっくり歩いてみます。

このチャレンジを実践してみて、心身にどのような変化があったか、ぜひSNSで共有してください。ハッシュタグ #水野南北チャレンジ をつけて投稿すると、同じチャレンジに取り組む仲間と体験を共有できます。

BIRL:
#水野南北チャレンジ
・食事量を2割減らす
・感謝の気持ちを表現
・夜9時以降は食べない
・一日一食は粗食
・食事中はスマホ禁止
・一口30回噛む
・食後に短い散歩
END:

一週間後、あなたの「運気」にどんな変化があるでしょうか?きっと新しい発見があるはずです。チャレンジの結果、気づいたこと、感じたことをコメント欄で教えてください。みなさんの体験が、次の参加者の励みになります!

 

まとめ:水野南北の教えから学ぶこと

水野南北の生涯と教えは、困難を乗り越えて自らの道を切り開いた一人の人間の物語として、私たちに勇気と希をを与えてくれます。同時に、食事と健康、そして運気の関係について考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

南北の「節食開運説」は、単に食事量を減らせば運が良くなるという単純なものではありません。それは、食事を通じて自己を律し、感謝の心を持って日々を過ごすことの大切さを説いたものだと言えるでしょう。

現代社会では、物質的な豊かさと引き換えに、心の豊かさや健康を失いがちです。南北の教えは、そんな現代人に「本当の豊かさとは何か」を問いかけているのかもしれません。

批判的な視点を持ちつつも、南北の教えから学べることは多くあります。観相学や節食開運説を字義通りに受け取るのではなく、その背後にある哲学や生き方の wisdom を現代に活かすことが重要です。

例えば:

  1. 自己観察の習慣:南北が人相を観察したように、私たちも自分の心身の状態を日々観察する習慣をつけることで、健康管理や自己改善につながるかもしれません。

  2. 食事への意識:南北の節食の教えを、現代の過剰消費社会への警鐘として捉え、食事の質と量を見直すきっかけにできるでしょう。

  3. 感謝の心:食事の際に感謝の念を持つという教えは、現代のマインドフルネス実践にも通じるものがあります。

  4. 長期的視点:南北が説いた「10年で大望が叶う」という考えは、即時的な満足を求めがちな現代人に、忍耐と継続の大切さを教えてくれます。

私たちも、南北の教えを参考にしながら、自分自身の生活を見直してみるのはいかがでしょうか。食事の量や質を意識し、感謝の心を持って日々を過ごすことで、心身ともに健康で充実した人生を送れるかもしれません。

7日間チャレンジを通じて、南北の教えの一端を体験してみることで、新たな気づきが得られるかもしれません。それが単なる健康法にとどまらず、人生の質を高める哲学として、あなたの人生に良い影響を与えることを願っています。

最後に、水野南北の生涯と教えは、私たちに「人生をどう生きるか」という根本的な問いを投げかけています。困難を乗り越え、独自の哲学を築き上げた南北の生き方そのものが、現代を生きる私たちへの大きなヒントとなるのではないでしょうか。健康で幸せな人生への第一歩が、ここから始まるかもしれません。