出産や結婚のお祝いを贈るとき、相手の負担を考えて「内祝いは不要」と伝えたいものの、失礼になってしまわないか迷いますよね。
この記事では、内祝いを断わる際の、立場や関係性に応じた例文と、相手に気持ちが伝わるマナーをご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります:
- 上司、友人、親族など、立場別の適切な断り方
- 内祝い断りに使える具体的な15の例文
- 相手との関係性を深める4つの伝え方のポイント
私については、こちらをご覧ください。
立場で変わる内祝いの断り方
内祝いを断る際に大切なのは、お互いの立場をよく理解すること。上司と部下、親しい友人同士、年長者と若い世代——それぞれの関係性によって、適切な伝え方は異なってきます。
まずは、具体的なシーンごとの例文を見ていきましょう。
上司から部下への伝え方
山田さんは総務部のマネージャー。今月末に産休に入る新井さんに出産祝いを贈ろうと考えています。自身も子育ての経験があり、産後の大変さを知っているからこそ、内祝いの負担はかけたくありません。しかし部下に対して、どのように伝えるのが適切でしょうか。
会社での上下関係がある中での内祝い断りは、相手に余計な気遣いをさせない配慮が必要です。以下の例文を参考に、状況に応じて使い分けてください。
ほんの気持ちですが出産祝いをお贈りします。
お返しのことは考えずに、どうぞ赤ちゃんのために使ってください。
落ち着いたら、元気な赤ちゃんの写真を見せていただけたら嬉しいです。
この度はご出産おめでとうございます。
内祝いなどお気遣いなく、ゆっくりと赤ちゃんとの時間をお過ごしください。
また会社に来られた際に、赤ちゃんのお話を聞かせてくださいね。
新しい命の誕生、心よりお祝い申し上げます。
どうかお返しなどはなさらず、ご自分とお子様のために大切に使ってください。
これからの子育て、みんなで応援していますよ。
親友への伝え方
大学時代からの親友・美咲が来月結婚式を挙げます。新居の購入や式の準備で出費が多いことは知っています。そんな美咲に結婚祝いを贈りたいのですが、内祝いの負担まではかけたくありません。長年の付き合いだからこそ、気持ちが素直に伝わる言葉を選びたいと思います。
親しい友人だからこそ、形式張らない自然な言葉で気持ちを伝えることができます。
おめでとう!
これはふたりの新生活のために使ってね。
内祝いなんて考えなくていいから。
そのかわり、新居に遊びに行かせてね♪
結婚おめでとう!
ほんの気持ちだけど、新生活の足しにしてください。
お返しよりも、これからも仲良くしてくれることが一番うれしいな。
末永くお幸せに!
Dear 美咲へ
私からの心ばかりの結婚祝いです。
内祝いは絶対ナシでお願い。
その分、新居でお茶会してね☺
年長者から若い世代への伝え方
甥の太郎君夫婦に第一子が生まれると聞きました。共働きで忙しい若い二人に、心からの祝福の気持ちを伝えたい一方で、内祝いの負担はかけたくありません。親族として、どのように気持ちを伝えるのが良いのでしょうか。
若い世代への気遣いを示しながら、年長者としての温かみのある言葉で伝えることが大切です。
ご出産おめでとうございます。
おじさんからの気持ちです。
どうかお返しのことは考えず、赤ちゃんのために使ってあげてください。
また会える日を楽しみにしています。
新しい命の誕生、心からお祝い申し上げます。
若いお二人に余計な負担をおかけしたくないので、内祝いはご遠慮ください。
その代わり、元気な赤ちゃんの成長を見せていただけることを楽しみにしております。
太郎君、〇〇ちゃんのご誕生おめでとう。
これは気持ちだけのものですから、どうかお返しは考えないでください。
赤ちゃんの写真を時々見せてもらえたら、それが一番の喜びです。
いろいろな場面で使える内祝い断りの例文集
相手への思いやりの気持ちと内祝い不要の意思を、場面に応じて適切に伝えることが大切です。以下の例文を状況に合わせてアレンジしてください。
メッセージカードでの伝え方
結婚祝いの場合
心ばかりのお祝いです。
内祝いなどのお心遣いは、どうかご無用にお願い申し上げます。
お二人の末永いお幸せをお祈りしております。
出産祝いの場合
新しい命の誕生を心よりお祝い申し上げます。
どうかお返しのことはお気になさらず、
赤ちゃんとの大切なひとときをお過ごしください。
フォーマルな場合
謹んでお祝い申し上げます。
ささやかながらご出産のお祝いをお贈りさせていただきます。
内祝いのお気遣いは、ご遠慮いただけましたら幸いです。
お祝いを手渡す際の伝え方
カジュアルな場面で
これは気持ちだけのものだから。
お返しなんて考えなくていいからね。
また会って、いろんな話を聞かせてほしいな。
職場での対面時
ほんの気持ちですが、お受け取りください。
内祝いのお気遣いは不要です。
また職場でお会いできる日を楽しみにしております。
親族への手渡し時
おめでとう。
若いお二人に負担をかけたくないので、
これは気持ちだけ受け取ってくださいね。
LINEやメールでの伝え方
友人同士のカジュアルな場合
結婚おめでとう!!
ささやかだけど、お祝い送らせてもらいました♪
内祝いは絶対ナシでお願いね。
その分、新居に遊びに行かせて~☺
ビジネスライクな場合
ご出産おめでとうございます。
本日、お祝いを発送させていただきました。
内祝いなどのお心遣いは不要でございます。
お子様とのかけがえのない時間を
どうぞ大切になさってください。
世代を超えた関係の場合
この度はご結婚おめでとうございます。
若いお二人の新生活の足しにと、
気持ちばかりのものを送らせていただきました。
どうかお返しなどはなさらず、
お二人の未来のために使ってください。
内祝いを断わる際の考え方
内祝いを断ることへの戸惑いは、実は多くの方が感じているものです。「せっかくのお祝いなのに負担になってしまわないか」「かえって気を遣わせてしまい、相手との関係性に影響しないだろうか」という不安は、むしろ誠実で思いやりのある方だからこそ抱く悩みかもしれません。
ここでは、当blogでご提案している枠組みを使って、考え方を整理してみましょう。
内祝いを断わる際の状況整理(4つの「C」で整理する)
まずは4つのCに分けて状況を整理してみましょう。
相手への配慮(Consumer)
まず大切なのは、相手の状況をしっかりと理解することです。出産後の育児に追われる時期なのか、結婚式の準備で忙しい時期なのか。相手の立場に立って考えることで、適切な言葉が見つかります。
自分の立場(Company)
上司、友人、親族など、相手との関係性によって適切な表現は異なります。特に、目上の側から内祝いを断る場合は、相手を立てながら、しかし明確に意思を伝えることが重要です。
一般的なマナー(Competitor)
内祝いを断る際も、基本的なマナーは守る必要があります。特に、お祝いを贈る喜びの気持ちが第一に伝わるようにしましょう。内祝い不要の伝え方が前面に出すぎると、かえって相手を困らせることになります。
状況の把握(Context)
出産祝いか結婚祝いか、対面で渡すのかメッセージカード経由か、など状況に応じて適切な表現を選びましょう。
DREAMメソッドで考える内祝いの断り方
次に、実際に内祝いを断わる際におさえておくべきポイントです。これは頭文字をとってD・R・E・A・Mとしてチェックしていきます。
Direct(直接性)
曖昧な表現は避け、内祝い不要の意思を明確に伝えましょう。「お気持ちだけで十分です」「内祝いは不要です」など、相手が迷わない表現を心がけます。
Respect(尊重)
特に目上の方や職場の関係では、まず感謝と祝福の気持ちを示すことが大切です。「このようなお気持ちをいただき、ありがとうございます」など、相手への敬意を示した上で内祝い不要を伝えましょう。
Explain(説明)
なぜ内祝いが不要なのか、簡潔で誠実な理由を示します。「若いお二人の新生活を応援したい」「育児に専念してほしい」など、相手を思いやる理由を伝えましょう。
Alternative(代替案)
内祝いの代わりに「お子様の写真を見せてください」「新居に遊びに行かせてね」など、関係性を深める提案をするのも効果的です。形式的なお返しよりも、心の通った交流を提案しましょう。
Maintain(関係維持)
一時的な贈答以上に、長期的な関係性を大切にする姿勢を示します。「これからも末永くお付き合いください」「お子様の成長を一緒に喜べたら」など、将来への期待を込めた言葉を添えましょう。
ここで用いた4C分析とDREAMメソッドについては、次のリンク先の記事で詳しく紹介しています。
断るのが苦手だったり、いつも不本意ながら頼まれごとを引き受けてしまい、損をしている気がする、、、という方にぜひご覧いただけたらと思います。きっと参考にしていただけると思います。
→断り方が人生を変える
やってはいけない内祝いの断り方
内祝いを断る際、以下のような表現は避けるべきです。
一方的な決めつけ
「お返しは絶対に断ります」といった強い表現は、かえって相手を困らせます。
あいまいな表現
「お返しはいいですよ」といった曖昧な言い方では、本当に不要なのか判断に迷わせてしまいます。
理由づけのしすぎ
「お返しの準備は大変でしょうから」など、相手の状況を決めつけるような説明は避けましょう。
見栄を張った表現
「こんな些細なものですから」という言い方は、かえって相手に気を遣わせることになります。
よくある質問と回答
Q.「内祝いは不要です」と伝えても、「遠慮」と受け取られてしまいがちです。本心から不要であることを上手に伝えるにはどうすればよいでしょうか?
これは多くの方が直面する悩みです。日本では「遠慮」という美徳があるため、いくら真摯に「内祝い不要」と伝えても、形式的な遠慮として受け取られがちです。以下のような工夫で、自然なかたちで意思を明確に伝えることができるのではないでしょうか。
-
具体的な代替案を示す
「内祝いの代わりに、赤ちゃんの写真を見せてください」
「その分、新居に招待してくださいね」
など、内祝い以外の形で関係性を深める提案をすることで、本気の意思表示だと伝わりやすくなります。 -
はっきりとした理由を添える
「若いお二人には新生活を充実させてほしいので」
「育児に専念してほしいから」
など、明確な理由があることを示すと、形式的な遠慮ではないことが伝わります。 -
複数の機会で一貫して伝える
お祝いを贈る際、メッセージカードでの記載、直接の会話など、複数の機会で同じ意思を示すことで、本気の意思だと理解してもらいやすくなります。
Q.断ったのに内祝いが届いてしまった場合は、どう対応すべきでしょうか?
こちらの意図が十分に伝わらなかったケースとして、素直に受け取りましょう。ただし、これ以上の返礼の連鎖は避けるべきです。心のこもったお礼状で感謝の気持ちを伝えることをお勧めします。
このように書き直すことで、お祝いを贈る側の視点に立った、より適切なアドバイスになると思いますが、いかがでしょうか?
Q.出産内祝いと結婚内祝いでは、断り方に違いはありますか?
本質的な違いはありませんが、出産内祝いの場合は育児の大変さへの配慮を、結婚内祝いの場合は新生活への期待感を込めた言葉を添えると、より自然な伝え方になります。
Q.メッセージカードで内祝い不要を伝える場合、どこに書くべきですか?
お祝いの言葉を先に書き、その後に控えめに内祝い不要の旨を添える形が望ましいです。決して内祝い辞退を前面に出さないように注意しましょう。
まとめ
内祝いの断り方で最も大切なのは、相手への感謝と祝福の気持ちを第一に伝えること。その上で、相手の立場や状況に配慮しながら、内祝い不要の意思を自然な形で添えていくのが理想的です。
私自身も、それなりに生きてきた中で数々の贈答を繰り返してきました。その経験から言えることですが、形式的なお返しよりも、お互いの気持ちが通い合う関係性を築くことの方が、はるかに価値があります。
この記事で紹介した例文や考え方を参考に、あなたらしい温かみのある言葉で、大切な方への思いやりを伝えていただければ幸いです。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました.なお本文中に登場する人物たちは、状況を思い浮かべやすいように作成した架空のキャラクターです.皆さんの状況に近いケースを選んで参考にしてくだされば幸いです.
ところでこれは私見ですが、「断り方」は小さな自己主張の第一歩だと思っています.断ることが苦手だという方はぜひこちらの記事もご覧いただければと思います.
「こんな断り方をしたらうまくいった」
「こんな断り方はまずかったと反省している」
という体験を、もしあなたがお持ちでしたら、ぜひコメント欄で共有してください.
同じお悩みを抱えたみなさんの助けになると思いますので、ぜひよろしくお願いします!
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