1970年の大阪万博は、高度経済成長期の日本を象徴する一大イベントでした。数多くの革新的な技術が展示された中、特に話題を集めたのが、三洋電機(現パナソニック)が出展した「人間洗濯機」こと「ウルトラソニックバス」です。
未来を予感させる「人間洗濯機」の驚きの機能
「ウルトラソニックバス」は、直径2メートルのカプセル型洗浄装置で、人が頭を出した状態でカプセルに入ると、温水シャワーと超音波で発生させた気泡により体が洗われます。さらに、赤外線と紫外線による乾燥機能、マッサージボールによる洗浄効果、そして血行促進と殺菌効果も備えていました。
夢の未来社会を体現した流線形デザイン
流線形のスタイリッシュなデザインは、当時の未来社会への憧憬を強く反映しており、人々を魅了しました。まるでSF映画から飛び出してきたような斬新なデザインは、多くの人々に「未来社会」への期待を抱かせました。
人間洗濯機「ウルトラソニックバス」の使い方と動画
1970年大阪万博当時の人間洗濯機「ウルトラソニックバス」の動画がネットにありました。テレビ番組でとりあげられていたようで、その使い方とともに映像で、詳しく紹介されています。
この映像をみて、個人的には1970年当時の「未来感」に興味をもちました.
脇に立っているコンパニオンの方のファッションとともに、かなりレトロフューチャー、というのでしょうか、素敵です.
とはいえこんな人間洗濯機は21世紀の現代もまだ実現していません。現代人はかなり忙しいはずですが、需要がない、ということなんでしょうか。タレントさんが「全然楽しそうではない」と言っていたことが印象的です。実はわたしたちがお風呂に求めているのは、単に清潔にすること以上のものなのかも知れないですね。
「自分を洗う洗濯機」という発想
この「人間洗濯機」の誕生には、三洋電機創業者である井植歳男氏のユニークな発想が大きく影響しています。「自分を洗う洗濯機を作ったら面白いだろう」という井植氏のひらめきは、当時の技術革新を牽引する力となり、未来社会を予感させる画期的な装置を生み出したのです。
展示から介護用浴槽へ:技術の進化と社会貢献
万博後、「ウルトラソニックバス」は高額な価格のため一般販売は限定的でしたが、その技術は介護用入浴装置の開発へと繋がりました。三洋電機と介護用品開発会社の協力により、2003年に介護用浴槽が発売され、高齢化社会における入浴の課題解決に貢献しました。
今も語り継がれる「人間洗濯機」
現在、「ウルトラソニックバス」はパナソニックミュージアムで展示され、当時の熱気を今に伝えています。当時の技術革新を象徴する「人間洗濯機」は、未来への夢と社会への貢献という二つの側面を備えた、まさに時代を先取りした発明だったと言えるでしょう。