こんにちは、クエリです。
先日来、NHK「みんなのうた」で放送中の『あなたの声』にハマっています。
やわらかな歌声とアニメーションに乗せて歌われる歌詞の世界が、じんわりと胸にしみ込んでくる。
おだやか過ぎるほどおだやかな歌ですが、不思議な魅力をはなっていて、一度聴いたら忘れられません。
というわけで今回はその謎の魅力にせまるべく、『あなたの声』の歌詞を意味を読みほぐしてみました。
- 聞こえるのは誰の声なのか?
- あなたの声とは結局のところ何なのか?
このあたりのクエリ(問い)に、私なりの答えを探してみたいと思います。
例によって主観的な内容になります。『みんなのうた』の映像とも少し違うイメージになったかも知れません。ともあれこの理解が正しいということではなく、ひとつの感想としてご覧いただけたら、と思います。ご自身の解釈を大切になさりたい場合、違った意見にふれるとご不快になるかも知れません。ネガティブなことは書きませんが、この点どうぞご注意ください。それと、『あなたの声』の歌詞そのものは、事情により掲載できません。歌詞情報の専門サイトをご覧ください。(せっかく来てくださったのにすみません。)
『あなたの声』の歌詞の世界
そういうわけで、『あなたの声』の歌詞の内容について、私なりに理解したイメージを書いてみます。(歌詞そのものではないのでご注意ください。)
すでにいない“あなた”
冒頭部分から感じられるのは、“あなた”は多分、もう二度と会えない“遠く”に行ってしまったのだろうな、ということ。
朝の空気と鳥の声のなかにあなたの声を感じ取る。これは、“あなた”がすでに自分の心のなかでだけ生き続けている存在になっていることを表していると思われます。
耳をすませばいつも聞こえてくる、あなたの声。小さくて、でも懐かしい。
朝、窓を開けば、あなたの声で「おはよう」と鳥が歌う。風に包まれて、私にはそんなふうに聞こえる。
祈りとしての“あなたの声”
冒頭に続いて追憶の気持ちが歌われ、あなたが星の世界に旅立ったことが示唆されています(と思います)。
けんかもしたけれど、思い出せば感謝の思いが湧いてくる。夜空を見上げれば、満天の星の世界に、あなたの声が響く。
そして、この次の雨の夜のくだりあたりから、トーンが少し変わって来ます。
雨の中、灯りのない部屋に帰ってくるのは寂しいですよね。
そんな時もあなたの声は聞こえてくる。
・・・本当でしょうか?
雨音でかき消されやしないか? 雨音のなかにその声は溶け込んでしまうのではないか?
ちょっと心配になります。
その次に描かれているのは、こんな光景です。
寂しくて、眠れない夜もある。そんな時は目を閉じて耳を澄ます。
あなたの声が聞きたい。おやすみと言って欲しい。
聞こえる、聞こえる、聞こえる、きっと・・・
かなり切ないものが迫って来ます。
もういない“あなた”。
その声を聴き取ろうと、目を閉じて耳を澄ます。
繰り返される「聞こえる」というフレーズは、
どうか聞こえて欲しいという願いのようでもあり、
きっと聞こえるはずだという祈りのようでもあります。
最後のフレーズの内容はこんな感じ。
再び会える時まで、星々から降り注ぐかすかな光に包まれていよう。
海の底、貝のように固く閉ざされた私の心のなかで、あなたの声は確かにいつも響いている、お守りのように。
いってしまった“あなた”の声に耳を澄ます。
心のなかで響くその声は、お守りのようにこのヒロインを包み込んでいる。
『あなたの声』の世界はこういうものではないかと、私は思っています。
『あなたの声』の歌詞の意味
聞こえるのは誰の声?
このヒロインにとって、“あなた”がどんな存在なのかは、はっきりしません。その意味では、あなたの声が誰の声なのかはよくわからない。“夢の中で約束した”とあるので、恋人や夫のような気がしますが、肉親や、友人の可能性もゼロとは言い切れません。
いずれにしてもとてもたいせつな、いつも傍に感じていた存在に違いありません。
あなたの声とは何なのか?
単なる離別ではなく、風や星に例えられているわけですから、それが意味するところを考えると辛いです。
あまりあけすけに言うのもアレですが、“あなたの声”は、失った存在への追憶の象徴だと感じられます。
追憶することで、彼女自身も支えられている。さらにそれが、亡くなった魂の鎮魂にもつながっているような気がします。
同じ状況に立たされれば、よくわかる心情かと思いますが、いかがでしょうか。
『あなたの声』作詞は誰?
こんな切ない歌詞を作ったのは、奥村健一さん。
ほかに『おかしなハロウィン』や『恋なんです』『めとめがあったら』などの作品があります。
ユーモラスな詩もあって、引き出しの多さを感じさせる方ですね。
『あなたの声』のアニメーションは誰の作品?
明るくトーンがかえって切なさを際立たせるアニメは、大湊良蔵さんの作品。
しめっぽくなりすぎず、わざとらしくもない。自然に温かな思いを抱かせてくれます。
フラットな画面づくりも現代的ですね。
大湊さんは、福島ガイナックスに所属なさっているそうです。
有名なアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で知られるガイナックスが、福島の三春町に新たにもうけた拠点。
あなたの声、歌っているのは誰?
優しい歌声は上白石萌音さん。
こちらも大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』(新海誠監督)で、ヒロイン・三葉の声を担当なさった声優さんです。私はその方面は疎いのですが、ファンの方にとってはこの透明な歌声も周知のことなのでしょう。
おわりに
ふと耳に入って来た『あなたの声』でしたが、おだやかな映像や声にすっかり惹かれてしまいました。
歌詞を読んでみると背景のイメージが広がり、いっそう印象を深くしています。
みんなの歌って時折こういう作品があるので、見逃せませんね。
ただ、繰り返しになりますが、ここで書いたものはあくまで私の個人的な感想・理解に過ぎません。作家さんの理解は全然違っているかも知れませんので、その点はどうぞご了承ください。その上で、みなさんのご意見、ご感想も伺えれば嬉しいです。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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