『ひよっこ』の主題歌がねちっこくて歌詞わからん!若い広場に桑田佳祐が込めた意味[v.2]

[改訂しました(05/17)]

NHKの朝ドラ『ひよっこ』、回を追うごとに視聴者の支持を集めているようです。

何しろ冒頭の、桑田さんの主題歌がいいですからね。
ポンポンポ〜ン”、という出だしがテレビから流れてくると、頭のなかではあのレトロな映像が自動再生、テレビの前に移動したくなります。けっこう忙しい時間帯なんですけどね(笑)

ただ、独特な桑田節がちょっと聴き取りにくいのと、歌詞の意味によくわからない面があります。
というわけでこのページでは、主題歌『若い広場』の歌詞と、その意味について、以前から考えてきました。

結局のところなかなか手強くて、半ばペンディング&放置状態になっていたんですが、皆さんのご関心がたいへん高い!
さらに先日NHKの会長が、まさに「歌詞わからん」つっちゃって、このページに来てくれる人が増えてしまったんです。

そんなわけで、あらためてv.2として書き直してみます。
歌詞の意味をアレコレ言うのはホントは無粋かなとも思うんですが、関心のある方の考えるヒントにでもなれば、と思います。大きな期待は禁物ですよ・笑

 

「リル」問題

この主題歌が発表された当時、まず問題になったのは最初の部分、
・〜の言葉を「見る
・〜の言葉を「射る
・〜の言葉を「little
など、諸説ありました。

私も最初は「見る」だと思ってたんですが、のちに「little」かと思うようになったんですよね。
でも正解は全然違った。
字幕放送で「リル」とはっきり書かれていたんです。ビジターの方から、コメント欄で教えていただきました(ありがとうございます!)。

そういうわけで、歌詞そのものははっきりしたのですが、
「んじゃあそのリルって何なのさ?
という問題が急浮上。

人の名前だろうけど、なんだか唐突・・・

そこで注目されたのが昭和の大ヒット曲『上海帰りのリル』。

私は知りませんでしたがこのリルさん、昭和歌謡界に一時代を築いた名前だったらしい。
実体は無く、言うなれば「あなた」と言う代わりに具体的な名前を使うことでリアリティを増そうとした感じでしょうか。(「順子」みたいな?古い?)
でも、全くの匿名存在というわけでもなくて、酒場の女性・洗練された色気を帯びた大人の女性というイメージをたたえています。

このリル、いろんな歌い手さんから呼びかけられているだけでなく、逆にリルを名乗る歌い手さんまで現れた、バーチャルなビッグネームだった、、、ようなのです。
何しろ私もリアルタイムではないので、伝聞調になっちゃってすいません。
リルについては別記事を書きましたので、よかったらご覧下さい。

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『ひよっこ』の時代設定や、そこはかと曲から漂う昭和感から言って、桑田さんはこの『上海リル』からリルを引用なさったのではないかと推測しています。言い換えるとこの『若い広場』も、昭和歌謡のリルの系譜に連なる一作、あるいはそれらへのオマージュ的な意味が少しはこめられているのかも知れません。私の想像ですけどね。

 

さなぎから蝶へ

それから、歌詞の中にある“さなぎと蝶”のたとえ。
これも大ヒットした昭和歌謡に出てくるんですね。

『白い蝶のサンバ』という曲の冒頭の歌詞がまさにこれ。
作詞は阿久悠さんで、出だしからいきなり、抱かれた私がまんま、蝶になっちゃってます。

大人になることを、さなぎ→蝶への変化として例えるのは珍しいことではありませんが、この当時はどうだったのか?
もしかしたらこの『白い蝶のサンバ』がオリジナル?

『若い広場』

それと、これはv.1の記事にも書きましたが、『ひよっこ』の舞台になっている昭和40年前後、NHKに『若い広場』という討論番組があった。

若者に自由な意見を言わせたりやらせたりして番組を制作。反応も良く、80年代に至るまで似たコンセプトの番組が、タイトルを変えて制作されていたそうです。

桑田版『若い広場』には昭和のキーワードがちりばめられている

そんなわけで、「リル」だけではなくこの『ひよっこ』主題歌には、いろんな昭和キーワードがちりばめられている。
私が気づかない、ほかのワードもたくさんあるような気もしています。

曲の冒頭で違和感を抱かせる「リル」も、こうした引用の数々に気づかせるための仕掛けみたいなもの、なのかも知れません。
実際、そんなふうに機能していますし。

『ひよっこ』の主題歌は端折られている

『若い広場』の面白いところはとりあえずわかったとして・・・で、全体としての意味はどんな風に理解すれば? と問われると、やっぱりひと筋縄ではいかない、というのが正直なところ。
NHKの会長さんが軽くディスった(?)気持ちもわからなくもないです。

ただ、歌詞の難しさは、ドラマのオープニングの尺の都合で、曲が大幅に切り縮められている点にも原因があるようです。
ラジオで発表されたというフルコーラスを私も動画で聞いてみましたが、こりゃ縮めすぎっ!って思ってしまった。
この意味では、わかりにくさの原因はNHK?? 会長さん、どうですか?

ま、人のせいにしても始まりません。
以下、せっかくわかったので、フルコーラス版の歌詞をたよりに一応の解釈を書いてみます。

基本的には、記憶の中の恋人=リルを、自分の青春として回想している男の話だと思うんです、多分。

青く、やんちゃだった自分。そんな青春の象徴・リル。
たいせつにしてきたその記憶を、都会の片隅で一人思い出し、今頃リルは誰かと幸せになったかな・・・、と思いを馳せている。

ただ、わからないのはサビの部分。

広場で肩を組んだ若者たちの希望にあふれた歌声が、夢満載で青空に響き渡ってるじゃないですか。

この部分がなんとも、、、前後のストーリーから浮いているように感じるんですよね。
ひとつ思うのは、これはもうホントに私の理解ですけど、このサビ部分はまんま青春のイメージなので、とりあえずはリルと過ごした時代=若かった自分の“あの頃”なんだろう、とは思うんです。

ただ、この直後・曲の最後の最後で、熱をもった吐息よ再び!と呼びかけています。
そしてリルに「さらば」と決別を告げている。

胸の中のガラス瓶に大切にしまったリルと別れ、再びあの無限の青空をとりもどそうとしている、と読めます。
その点ではこのサビ部分は、再び未来を向いた自分の、次の青春のビジョンでもあるのかも知れない。

思い出を手放すのは辛い。しかしそうすれば明日、また新たな出会いがあるはず!

・・・

熱を帯びた吐息への呼びかけは、冒頭とこの最後のシメに近いところで二度出てくるのですが、最後で繰り返される時には、冒頭には無い前向きな姿勢=記憶からの離別と新しい歩みが感じられます。

そんなわけで私はこの『若い広場』を、青春の記憶に縛られた大人がそれと決別し、あらたな人生の春に目を向ける歌、という風に理解しました。

ですが、ドラマ版では、最後のリルとの決別が歌われないため、たんに若い時代を懐かしむだけの歌に聞こえてしまうんですけどね・・・やっぱり端折っちゃだめなんじゃない??

フルコーラス版をカバーしていらっしゃる方がいましたので、リンクを貼らせていただきます。まだ聴いてないという方はどうぞ。


 

『ひよっこ』の主題歌『若い広場』、みんなの感想

ネットでみなさんの反応を見てみましょう。

x.com

なるほど、よく見ていらっしゃいますね!

『若い広場』の発売はいつなのか?

桑田さんは今年で還暦の60歳。
ソロ活動30周年ということで、スペシャルサイトが開設されました。

サザンオールスターズの名曲ランキング
サザンオールスターズの名曲ランキングです。サザンの歴代の曲について、CD売上、カラオケ、配信、ファン投票などをふまえ、編集部が順位を付けました。桑田佳祐のソロの曲も含めています。1位は「TSUNAMI」、2位は「勝手にシンドバッド」、3位は...

『若い広場』の発売時期についてはまだ発表されていませんが、こちらのROUND30でもインフォメーションされるのだろうと思います。

 

おわりに

以上、なかなかスッキリ、とはいかなかったと思いますが、『若い広場』の歌詞の意味について私が考えた結果 v.2です。

桑田佳祐さんはコアなファンが多いアーチストです。私のようなにわかがこんな勝手なことを書くとお叱りを受けそうで内心怖々なんですが、特に正解を主張するものではありません。個人の楽しみ方のひとつとして、大目に見てくださればありがたいです。

最後までご覧くださり、どうもありがとうございました。
また、中途なまま放置していたv.1の記事をご覧いただいたみなさまにもお礼申し上げます。
多くのご意見もありがとうございました。

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1964年の東京と農業をテーマに有村架純を撮り下ろし。劇中写真、オフショット+宮本信子さん、佐久間由衣さんとの対談など、って、かなり見たいですね。

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コメント

  1. おたんちん より:

    字幕付きで見ています。

    歌詞の最初は、「愛の言葉を見る」ではなく、「愛の言葉をリル」
    女性の名前でしょうかね。いかにも意味不明な桑田節ですな。

    「あの子いまごろどうしてる」は「あの娘~」です。

    • webmaster より:

      おたんちんさん、こんにちは!
      情報、どうもありがとうございます。
      「リル」ですか? その発想は無かった。
      「娘」の部分とあわせて書き換えますね。

      どうもありがとうございます。
      てか、リルってホントになんだろう??

  2. kenken より:

    本当なのじゃ!桑田節は何でもありさ!

  3. 樹華 より:

    愛の言葉 a little   じやないのかな・・

    • webmaster より:

      樹華さん、コメントをどうもありがとうございます。
      返信が遅くなってしまい、失礼しております。

      字幕放送にはリルと出るそうですが、おっしゃるとおり発音そのものはlittleがいちばんしっくりくるな、と私も同感です。
      リルはどうやら女性の名前らしく、これについては別記事にしてみましたので、よかったらご覧ください。
      ただ、このリルという名前も、littleとつながっているような気もします。little girlとか、そういう感じで愛称っぽいものかという気もしています。

      また何かわかれば追記したいと思います。
      ありがとうございました。

  4. 通りがかりの人 より:

    解説してつもりのわりには知識も中途半端で浅い。これでアクセスだけ集めようとしているのであれば、がっかりです。

  5. ルビー より:

    こんばんは。
    私は、昭和歌謡の良い部分をまとめた感じの曲調が気に入りました
    桑田さんは確かに歌い方が独特ですけど、私はそのくどさが好きです笑

  6. おじさん より:

    桑田氏が言っている通り、この歌は、自分の過ぎ去った青春へのオマージュだと思います。
    着想はおそらく昭和30年~40年頃の曲の歌詞を眺めてなされたものと思います。
    例えは「リル」は、間違いなく「上海帰りのリル」ですね。「愛の言葉をリル」は、「風の噂はリル」「戻れこの手にリル」「望み捨てるなリル」と、文字数もピッタリ符合します。
    後は、歌ネタがちりばめられてる感じですね。
    私がとりあえず気づいたものとしては、「上海帰りのリル」(昭26)、「サウンド・オブ・ミュージック(映画)」(昭40)、「見上げてごらん夜の星を」(昭38)、「白い蝶のサンバ」(昭40)、「若い広場(テレビ番組)」(昭37)、「巣立ちの歌」(昭40)‥‥「さらば友よ」の歌詞だけでなく、卒業ソングとして全体のイメージに影響しているように思います。
    サビの展開に違和感があるとのことですが、これは、若い人の曲ではないと思います。それこそ桑田世代ぐらいの人が、はるか遠くの青春時代の、忘れかけていた甘酸っぱい初恋の思い出を追想しているんです。あの頃、日本全体が青春時代で、「青い山脈」みたいな歌をみんなで歌って、貧しいけれど希望に満ちあふれていたんです。
    だから、失った恋への痛みというより、もう二度と戻らない青春への挽歌なんです。
    若い人には、ちょっとイメージしにくいかもしれませんが。

  7. ぴーすけ より:

    サザンのコアファン20後半です。コアなファンに気遣いをしてるコメントがあるものの、タイトルに「ねちっこくて」と書いてる時点で喧嘩売ってるだろ!ふざけんな!って思いますね。悪意感じますもん。こういうので、気に障る人もいるんだって少しは学んだ方がいいですから。

  8. マスター より:

    リ~ル♪リ~ル♪どこにいるのかリル
    誰かリルを知らないか♪

    空前の昭和ブームですかね?
    上海帰りのリルを知らなくても
    桑田の歌で知る!
    字幕機能くらい使いましょうね。
    あんまり言うと全部が嫌いになってしまうでしょうから
    ファイト!

  9. まさかず より より:

    ロックが嫌い、サザン・桑田が嫌い、カタカナ言葉の歌詞が嫌い、と短絡的に決めるのはどうかと思う。詞の内容を分析して評価するのはナンセンス!例えば、世界的アーテイスの大ヒット曲の歌詞を細かく解釈してたらつまらい事です(昔も今も)。要は聞いた人の感性で感じれれば良いのではと思います。人それぞれこのみが違いますから。。私は ひよっこの主題歌 いい曲と感じています。

  10. hiro より:

    私は、『若い広場』は最近の曲のなかではダントツによく出来た曲だと思っています。
    特に「若い広場 楽しドラマ」からの部分。年配の方はすぐに『東京ラプソディー』あたりのメロディを思い出すでしょうが、あえて古くさい(失礼かな?)メロディを上手くポップスに取り入れたなぁと感心しました。この部分、NHKヴァージョンだとサビのように聴こえますが、フルだと一度しか歌われずCメロ扱いです。しかし、これがあるおかげで昭和の雰囲気が増すうえに曲が単調になりません。古いメロディを他のメロディのなかに溶け込ませて、新鮮に蘇らせる桑田さんのセンスには脱帽します。
    このような曲作りは、よほど過去の歌謡曲を理解しつつ、現代の曲も知っていないと出来ないでしょう。そうでなくては、ただのノスタルジックで古くさいだけで終わってしまいますから。
    また、『リル』という馴染みのない名前を使うことで、「なんだろう?」と聴き手に関心をもたせるあたりも見事です。結果、記憶に残る曲になりました。
    桑田さんはご自身の加齢に合わせて、若い人には創れそうで創れないポップスを生み出しましたね。

    • webmaster より:

      hiroさん、詳しいご感想をどうもありがとうございます。

      曲調に関して、一定の年代以上のみなさんに喚起するものがあるのだろうと予想はしていたのですが、実際のところをお聞かせいただけて嬉しいです。
      やはり桑田さんならではの思いと、それを支える曲づくりの技術がこめられていたのですね。

  11. ひとから より:

    ドラマの主人公たちは団塊の世代ですよね。集うと肩を寄せ合って歌う世代。

    桑田さんと私は同年代で、団塊の世代よりは10歳ほど年下になります。

    それでも、サイクリングしながら皆で合唱したり、中学校のホームルームでは

    月に一回曲を変えながら合唱してました。高校三年生、学生時代、青い山脈

    わからないサビの部分をイメージするのに最適な映画がありますよ。

    ジブリ映画「コクリコ坂から」です。体育館の中で全員が合唱するシーンが

    あります。私も観てて思っていたのですが、若い人達がこのシーンを観ても

    「突然皆で合唱???」意味わかんないと感じるだろうな~って。

    コクリコ坂は東京オリンピック前年の設定で、主人公は高校3年生。

    ひよっこは東京オリンピックの年に、主人公達は高校3年生でしたので、

    コクリコ坂の主人公より1歳先輩ということですね。

    ひよっこでもお兄ちゃん達が青年団に属してますが、私が子供の頃に見ていた

    団塊の世代の青年団はよく集まって歌ったり踊ったりしてました。

    • webmaster より:

      ひとからさん、コメントをどうもありがとうございます。
      とても丁寧に当時の様子を教えてくださり、感謝しています。
      今ではちょっと考えられませんが、いい時代ですね。『ひよっこ』のドラマを見ていてそう感じます。

      もちろん当時は当時でさまざまな問題があったのでしょうけれども、人々の関係が今とは違っている気がします。核家族化や格差が進みながらも、根底には戦中・戦後の厳しい時代を共有した互助精神も生き続けていたのかなと思います。血縁・地縁の同調圧力から脱出したはずが、いまではまた別な同調圧力があって、人の世はままならない、という感じですね。
      『コクリコ坂』は見たことがないので機会があれば見ていたいと思います。
      どうもありがとうございました。